円借款事業のVAT、フィリピン政府側の全額負担に
(フィリピン、日本)
マニラ発
2017年02月07日
フィリピンでの円借款事業にかかる付加価値税(VAT)負担について、日本とフィリピン両政府間による交換公文では、フィリピン政府側による負担として規定されている。しかし、フィリピン歳入庁の通達によりVATの一部が請負業者(Contractor)の支払いから源泉徴収されており、問題とされていた。このため、日本の官民によるビジネス環境整備委員会とフィリピン政府との交渉により、1月11日に出されたフィリピン歳入庁通達で、フィリピン政府側が全額を負担することに修正された。
<5%の源泉徴収を廃止、E/Nの規定条件順守に修正>
日本とフィリピン両政府間において、円借款事業に関する交換公文(Exchange of Notes、以下、E/N)上、同事業の発注に係るVATはフィリピン政府が全額負担することとなっている。しかし、2015年8月のフィリピン歳入庁の通達(Revenue Memorandum Circular No.45-2015)により、VAT12%のうち5%分を請負業者への支払いから最終源泉付加価値税として源泉徴収すると規定され、請負業者が負担することになり、E/Nに抵触する問題となっていた。
同問題については、日本の官民を挙げた、日本・フィリピン経済連携協定(JPEPA)に基づくビジネス環境整備委員会が交渉を続けてきた。その結果、フィリピン歳入庁による通達(Revenue Memorandum Circular No.8-2017)が2017年1月11日に公布され、2015年8月の通達を撤廃し、フィリピン政府がVATを全額負担することに修正された。
今回の通達により、E/Nで規定された条件が順守されることとなる。これまで日本の請負業者に課せられていた負担がなくなり、円借款事業の円滑な運営に期待が高まっている。
(鈴木翔三)
(フィリピン、日本)
ビジネス短信 ead18a4f7262c041