クチンスキー大統領が虚偽報告で罷免の可能性-罷免問う国会投票を12月21日に実施-

(ペルー)

リマ発

2017年12月19日

ペドロ・パブロ・クチンスキー大統領が所有するウエストフィールド・キャピタルに対し、ブラジルのゼネコン大手オデブレヒトから業務委託を通じた資金の流れがあった事実が明らかになった。野党の複数政党は、クチンスキー大統領が国会調査委員会において説明を怠ったことは職務上の透明性を欠く深刻な虚偽報告と問題視している。12月21日に国会でクチンスキー大統領の罷免を問う投票が行われることになり、失職の可能性が出ている。

野党主導による大統領罷免投票の決議が可決

ペルー国会は12月15日、複数政党の連名により提出された大統領罷免の審議および投票の実施を求める決議を可決した。大統領罷免の審議を求める決議案は国会全議席数130のうち2割に相当する26議員による署名が必要となるところ、27人が署名して提出された。同決議案に署名した議員の政党別分布は、ケイコ・フジモリ元大統領候補が党首を務めるフエルサ・ポプラル(FP)党議員14人、左派のフレンテ・アンプリオ(FA)党が9人、アプラ党2人、進歩党1人、無所属1人だった。また、同決議案の可決に必要な全議席の4割相当(52議員)を大きく超える93議員が賛成に票を投じ、可決された。なお、17議員が反対票を投じ、20議員が欠席した。

既に野党の議席数は罷免決定の必要数を超える

大統領の罷免を問う投票は、12月21日の国会において大統領(弁護士の代理出席も可)による弁護のための答弁を経て、午後に行われる予定となっている。国会議席数の3分の2に相当する87以上の賛成票によって、大統領の罷免が決定する。現在の国会の議席数は与党が野党を大きく下回っており、野党の議席数が罷免可決に必要な数を既に超えている。具体的には、クチンスキー大統領が党首を務める与党ペルアノス・ポル・エル・カンビオ(PPK)党の18議席に対し、最大野党のFP党が71議席、FA党が10議席、ヌエボ・ペルー党が10議席となっている。

ほぼ全ての野党が、クチンスキー大統領が資金の流れを公表しなかったことについて、大統領としての職務上の透明性を欠く深刻な虚偽報告だとしている。

(藤本雅之)

(ペルー)

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