世界銀行、インドネシアの2022年経済成長率を5.1%と予測

(インドネシア)

ジャカルタ発

2022年07月04日

世界銀行は6月22日、最新のインドネシアの経済見通しを示した「Indonesia Economic Prospects外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます」(2022年6月版)を発表した。2022年の実質GDP成長率を5.1%と予測し、2023年以降は5.3%程度の成長に加速すると予測した。2022年の実質GDP成長率については、前回予測PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)(2021年12月)の5.2%から0.1ポイント引き下げた。

同報告書では、経済成長の主要因が、輸出と公的消費から、民間消費と投資に移ってきているとした。GDPの5割以上を占める民間消費は、2022年は4.7%、2023年は5.0%と、新型コロナウイルス流行前の水準に迫ると予測した。また、投資(Gross Fixed Investment)についても、2022年は5.6%、2023年は6.4%成長するとした。2023年に経済成長率が5.3%に拡大するとの予測については、潜在需要の開放、消費者心理の改善、交易条件の改善を要因に挙げた。

物価上昇、金融引き締めなどで成長率が4%台に低下する場合も

一方で、同報告書によると、世界全体の成長率は2021年の5.7%から2022年の2.9%に減速するとみられる。主な原因は、ロシアによるウクライナへの侵攻とそれに伴う世界経済の混乱、コモディティー価格の上昇、物価上昇の圧力だ。同報告書では、これらの要因などが、インドネシアの成長の足かせになりうるとした。コモディティー価格は2022年中にピークを迎え、中長期的に高止まりすることが予測されている。同価格の上昇は、短期的にはインドネシアに輸出と財政収入の増加をもたらすが、物価上昇の圧力が高まり市民の生活を圧迫すれば、政府はたとえば低所得層を救済する補助金など、成長促進に直結しない財政支出を増やさざるを得ない状況も想定される。また、物価上昇が各国の金融引き締めを招けば、インドネシアを含む発展途上経済からの資本流出を引き起こし、資金調達環境を悪化させる恐れがある。加えて、インドネシアの貿易相手国の経済成長が鈍化すれば、輸出や投資の減少につながる恐れがある。これらのリスクが現実に発生した場合、インドネシアの成長率は、2022年4.6%、2023年4.7%に低下する可能性があるとした。

(尾崎航)

(インドネシア)

ビジネス短信 e0a13c9d50a0972b