最短45日で企業の登記抹消が可能に-湖北省政府幹部、簡易手続き制度の施行で強調-

(中国)

武漢発

2017年03月14日

 3月1日から全国で、企業の登記抹消に関する「簡易手続き」制度が導入されている。湖北省政府幹部は、同制度の実施により、申請から登記抹消まで最短45日間で完了可能になると強調している。他方、同手続きの適用に当たっては、申請時に租税債務も含む「債権債務関係の清算終了」が要件と明示されており、実際の運用は不明確だ。

<地元紙への公告が不要に、書類数も減らす>

 湖北省工商行政管理局の李漢江副局長は「従来、企業の登記抹消手続きには、時間とコストがかかっていた」と認めた上で、3月1日から湖北省を含む全国で導入された簡易登記抹消手続き制度について「申請時から最短45日間で完了させたい」と述べ、同手続き施行の徹底に向けて意欲を示した(「長江商報」2月28日)。

 

 従来は、登記抹消に当たって地元紙に公告を掲載する必要があり、湖北省では公告に500~1,000元(約8,500~1万7,000円、1元=約17円)ほどの費用が必要だった。また、申請時に必要な書類は7種類(申請書、委任状、解散決議書、清算報告、新聞公告の写し、営業許可証の正・副本、納税完了証明書)とされていた。特に、納税完了証明書の取得は時間がかかり、半年以上になるケースもあったようだ。

 

 湖北省工商行政管理局によると、今回導入された企業登記抹消にかかる「簡易抹消手続き」においては、以下の2点を特長としている。

 

 第1に、地元紙への公告が不要となった。代わりに国家企業信用情報開示システムの該当サイトで申請手続きを行う。

 

 第2に、申請時に必要な書類も7種類から4種類(申請書、委任状、投資家全員の承諾書、営業許可証の正・副本)のみとなる〔企業登記抹消にかかる簡易手続き制度概要(湖北省工商行政管理局)参照〕。

 

<租税債務の扱いなど実際の運用は不明確>

 ただし、簡易手続き制度の実際の運用は、現時点では不明確だ。なぜなら、申請時に必要な書類から、「納税完了証明書」は除外されたものの、簡易手続きの適用対象に当たっては「債権債務の清算終了」を含む幾つかの要件が明記されており〔企業登記抹消にかかる簡易手続き制度の適用条件(湖北省工商行政管理局)参照〕、当局も「租税債務なども債務に含まれる」と指摘しているからだ。このため、「納税完了証明書が実態として必要とされる状況に変化はない」と、当地の中国企業担当者は指摘している。

 

 日系企業の中には、出口戦略の困難さを理由に進出をちゅうちょするケースもあり、登記抹消の簡素化と迅速化は重要な課題だ。この点について、湖北省工商行政管理局の担当官は「租税債務完了などの点について、関係機関とも協議して、登記抹消の簡素化に取り組みたい」と述べ、今後の運用に含みを持たせている。

 

(古谷寿之)

(中国)

ビジネス短信 dce9618646d1be81