ウクライナがカナダとFTA締結

(ウクライナ、カナダ)

欧州ロシアCIS課

2016年07月21日

 ウクライナは7月11日、カナダと自由貿易協定(FTA)を締結した。ウクライナは貿易品目の86%、カナダは99%について関税を撤廃する。ウクライナは関税撤廃に最長7年の移行期間を設けて対応する。2国間FTAの締結はウクライナにとって8ヵ国目、カナダにとっては10ヵ国目となる。

<両国経済関係の強化と発展に期待>

 ウクライナとカナダは6度のFTA交渉を経て、20157月に交渉を妥結していた。2016711日にウクライナの首都キエフで、ポロシェンコ大統領とカナダのトルドー首相列席の下、両国は正式にFTAに調印した。本FTAは、(物品の)市場アクセス、原産地規則、政府調達、知的財産権、電子商取引、環境、衛生植物防疫措置などの分野を網羅している。

 

 ポロシェンコ大統領は「この協定はウクライナとカナダの経済・貿易関係を簡素化し、かつ強固なものにする」と述べた。トルドー首相は「FTAの締結は重要な意義を持つ出来事であり、両国の経済を補強する。また、新たな機会・雇用・市場を創出し、生活水準の向上を助長するだろう」と指摘した。

 

 さらに、ウクライナのクトビー農業政策・食糧相は「カナダとのFTA締結は、ウクライナの生産者が高品質な商品の販路拡大や、高付加価値商品を創出するための絶好の機会だ。わが国の農業分野への投資の魅力が増すことにも期待したい」と語った。

 

<ウクライナは7年の移行期間で関税などを撤廃>

 カナダが協定発効と同時に対象品目への関税撤廃を実施する一方、ウクライナは最長7年の移行期間を設けている。ポロシェンコ大統領は記者会見で、「関税の撤廃だけでなく、移行期間中に貿易の技術的障害などの非関税障壁を最大99%まで撤廃する」と述べた。また、「これは、商品市場と透明性の高い取引の拡大につながる」と強調した(インターファクス通信711日)。

 

 ウクライナは、カナダ産の農水産物のうち魚介類や穀物などの一部品目については関税(520%)を即時撤廃、それ以外の品目の関税(最大30%)は7年間で撤廃するほか、工業製品や木材などに課している関税も7年間で撤廃するとしている。なお、豚肉の一部の品目については、輸入量を7年間で2倍に増やすことも協定に含まれている。

 

(渋倉美峰)

(ウクライナ、カナダ)

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