ウーバー、ナイロビでフードデリバリー事業に参入

(ケニア)

海外調査計画課

2018年06月07日

米国の配車サービス大手のウーバー(Uber)は5月29日、ケニアの首都ナイロビで食事宅配サービスアプリ(フードデリバリー「UberEats」)を開始した。サブサハラアフリカで同社がサービスを展開するのは南アフリカ共和国に続き2カ国目。高級住宅街のあるナイロビ市中心部キリマニ地区など4カ所で開始し、今後は市全域と他都市にサービスを拡大する予定だ。

同社は既に100以上の飲食店とパートナー契約を締結した。スマートフォン1つで注文から支払いまでが可能で、指定した届け先までバイクで配達される。支払いは現金、クレジットカードのほかに、エムペサ(M-Pesa、注)などの電子決済から選ぶことができる。ウーバー・ケニアのアマル・デバニ部長は現地メディアに対し、「ナイロビ市民はお気に入りのレストランと便利に簡単につながることができる」と述べた。

ケニア市場をめぐっては、配車サービス会社が相次いで事業を拡大している。通常のタクシーに比べ安全かつ安価なことが、同サービスが普及している要因だ。事業拡大の理由にはスマートフォンと電子決済の普及、消費層の拡大が挙げられる。同国での電子決済利用率は人口の約70%といわれており(ケニア通信局)、スマートフォンの普及と相まって同サービスを提供するインフラ基盤ができつつある。

また、ナイロビでは人口の80%が35歳以下で、今後の消費拡大も見込まれる。フードデリバリーサービスにはウーバーのほか、ヤム・ブランズ(米国)、イートアウト(南ア)、ジュミア・フード(ナイジェリア)などもナイロビで事業を積極的に展開しており、今後も競争の激化とサービスの多様化が予想される。このほか、エストニアのタクシファイはドイツ自動車メーカーのダイムラーとアフリカでの事業提携を発表している(5月30日)。

(注)ケニアの通信最大手サファリコムが提供する送金サービス。

(山崎有馬)

(ケニア)

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