タタルスタンで5G移動通信を試験導入

(ロシア)

欧州ロシアCIS課

2018年05月28日

タタルスタン共和国イノポリス市で5月21日、第5世代(5G)移動通信システムが試験導入された。ロシア大手通信会社ロステレコム、地方通信会社タトテレコム、中国大手通信機器メーカー華為技術(ファーウェイ)と、同共和国情報化・通信省による共同プロジェクトで、機材はファーウェイが提供した。

ロシアでの5Gの試験導入は2例目。2018年3月にはロステレコムとフィンランド通信機器メーカーのノキアの協力で、モスクワ郊外のロシア版シリコンバレー・スタートアップ拠点スコルコボに初めて5Gが試験導入されていた。

連邦政府が創設した都市イノポリス

イノポリスは連邦政府により2015年6月に創設された新興都市で、経済特区や情報技術大学を有し、ITをはじめハイテク産業の集積地となっている。試験導入の式典には、同共和国のルスタム・ミンニハノフ大統領やロステレコムのミハイル・オセエフスキー社長が出席した。オセエフスキー社長は「これは小さなプロジェクトだが、ロシアにとっては大きな一歩だ」と述べ、5Gを活用した技術やサービスの発展に期待を寄せた。今後、イノポリスのテクノパークや大学で5Gネットワークに求められるサービスの市場調査、商業化に向けた実証事業などが行われる。

また、ロステレコムはスウェーデン通信機器メーカーのエリクソンと協力し、2018年内にサンクトペテルブルクのエルミタージュ美術館での5G試験導入を計画。来館者に対して触覚通信(Tactile Internet、注1)や拡張現実(AR:Augmented Reality、注2)の技術を活用したサービス提供を想定している(タス通信2017年11月22日)。

なお、連邦政府は政府指示第1632-r号「プログラム『ロシア連邦のデジタル経済』」(2017年7月28日付)PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)で、2020年から人口100万人超の都市での5Gの導入を目標に掲げている(2018年1月11日地域・分析レポート参照)

(注1)遠くにある物体の手触りといった触覚を伝達し、疑似体験できる技術のこと。

(注2)現実世界の情報に別の情報を加え、仮想的に現実世界を拡張する技術のこと。

(戎佑一郎)

(ロシア)

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