欧州産業界、鉄鋼セーフガード措置発動に慎重な対応を求める

(EU)

ブリュッセル発

2018年04月24日

欧州鉄鋼連盟(EUROFER)は4月23日、鉄鋼分野における欧州委員会の緊急輸入制限(セーフガード)措置について、「(EUでの)輸入急増を阻止すべき」だが、同時に「国際的な鉄鋼流入に対するEU市場へのアクセスを保証すべき」とし、措置発動には慎重な対応を求める声明を発表した。欧州委は3月26日に鉄鋼製品に関するセーフガード調査を開始すると発表(2018年3月28日記事参照)しているが、同連盟としては、今回の調査は「世界的な過剰生産と、(米国の追加関税措置に伴い市場を失った余剰鉄鋼の)EU市場への流入急増」を阻止する観点で進められるべきと指摘。

EUとしての鉄鋼市場閉鎖は避けるべき

同連盟のアクセル・エガート会長は、EUの鉄鋼輸入が2017年に3,000万トンに達し、2013年(1,800万トン)から約66%も拡大したことも念頭に「歴史的にも高水準の輸入を続けるEU市場だが、セーフガードが発動されても世界の鉄鋼からの市場アクセスは保証される」とコメント。EUとしてのセーフガード措置発動によって、鉄鋼市場が閉鎖されるわけではないとの認識を示した。また、エガート会長は「(EUの)セーフガード措置は、鉄鋼供給不足やその発動に伴う価格高騰も引き起こさない」との見通しを示し、欧州鉄鋼産業界として、穏便な問題解決を求める考えを示唆した。

(前田篤穂)

(EU)

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