2022年第1四半期のGDP成長率は5.0%、内需が下支え

(マレーシア)

クアラルンプール発

2022年05月25日

マレーシア中央銀行と統計局は5月13日、2022年第1四半期(1~3月)の実質GDP成長率が前年同期比5.0%だったと発表した(添付資料表1、図参照)。新型コロナ規制の緩和に伴い、経済活動が正常化したことで、内需が経済成長を下支えした。

需要項目別にみると、GDPの61.4%を占める個人消費が前年同期比5.5%増となり、前期(3.7%増)から成長が加速した。政府消費は、ワクチン購入などの新型コロナ対策に関連した支出増により、6.7%増とさらに上昇にした。民間投資は、サービス業と製造業がともに回復したことで、0.4%増とプラスに転じた。公共投資は0.9%減と振るわなかったが、マイナス幅が前期(3.4%減)より縮小した。また、輸入(11.1%増)の伸びが輸出 (8.0%増)の伸びを上回ったため、純輸出は26.5%減のマイナスに転じた。

産業別では、GDPの58.2%を占めるサービス業が、小売りや食品・飲料などの消費回復により前年同期比6.5%増と伸びを加速させた(添付資料表2参照)。製造業は6.6%増と前期(9.1%増)からやや減速したが、引き続きプラス成長だった。背景には、電気電子産が依然として好調だった一方、ゴム製品が2桁減を続け、成長を押し下げたことがあるとみられる。農業は、2022年初頭の豪雨によってアブラヤシの収穫活動が鈍化した影響で、0.2%増に伸び幅が縮小した。鉱業・採石では、複数の原油や天然ガスの施設がメンテナンスにより閉鎖されたことが影響し、1.1%減となった。建設業も6.2%減と、前期からは回復基調にあるものの、マイナス成長が続いた。

通年の経済成長見通しを据え置き

2022年通年の経済成長見通しについて、ノル・シャムシア中央銀行総裁は、3月末に発表した5.3~6.3%の予測を据え置いた。通年のインフレ率は2.2~3.2%と見込む。この点について、バンク・イスラムのチーフ・エコノミストであるモハマド・アフザニザム氏は、第1四半期の高い経済成長率に鑑み、直近の中銀による政策金利の引き上げは妥当と指摘(2022年5月13日記事参照)、今後も政策金利は引き上げられる、と予測している。サンウェイ大学のヤー・キム・レン経済学部教授も、堅調な内需が引き続き経済成長を下支えし、中銀の通年予測は十分に達成し得ると指摘した(「ニュー・ストレーツ・タイムズ」紙5月15日)。

(エスター頼敏寧)

(マレーシア)

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