世界のテック企業や投資家、ロンドンに熱い視線
(英国)
ロンドン発
2018年06月21日
先端技術に関する国際会議や展示会から成る産業イベント「ロンドン・テックウイーク」が6月11日から17日の1週間、100カ国以上からの参加者を得て開催された。ロンドン市の関連機関などの主催で2014年に始まったこの行事は年々規模を拡大(2018年6月15日付地域・分析レポート特集記事参照)。大小300以上のイベントが開催され、国内外のテック企業や投資家らでにぎわった。
期間中、海外大手企業などによる大型投資計画の発表も相次いだ。顧客情報管理(CRM)最大手の米セールスフォース・ドットコムは、向こう5年間で25億ドルを英国に投資すると発表。アラブ首長国連邦(UAE)アブダビ首長国の政府系投資会社ムバダラ・インベストメントは、英国など欧州のテック企業に投資する4億ドル規模のファンドを立ち上げると表明した。同社のアル・ムハイリ・グループ副最高経営責任者(CEO)兼オルタナティブ投資・インフラ部門CEOは「将来の技術イノベーションと起業家精神において、ロンドンはとても力強い市場だ」と述べ、ロンドンの優位性とファンド設立の戦略的意義を強調した。同ファンドには、日本のソフトバンクグループも米子会社を通じて参画する予定だ。
他の日本企業では、NTTデータがロンドン・テックウイークに先立つ6月4日、2016年に設立されたスタートアップ、マジェンティス(Magen Tys)・ホールディングス(ロンドン)の買収を発表した。デジタル化の分野に高い技術力を有するマジェンティスを取り込み、顧客のデジタル化の支援を強化するのが狙いだ。NTTデータUKのサイモン・ウィリアムズCEOは、マジェンティス買収や自社オフィス、イノベーションセンター開設などへの投資は800万ポンド(約11億6,000万円、1ポンド=約145円)を超え、400人以上の雇用を創出する見込みだと明らかにしている。
(宮崎拓)
(英国)
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