アマゾン、豪州からの米英サイト利用を7月から停止

(オーストラリア)

シドニー発

2018年06月06日

アマゾン・ドット・コムは5月31日、オーストラリアの利用者による同社の米国と英国サイトの利用を7月1日から停止すると発表した。従来はこれらのサイトで商品を購入し、それをオーストラリアに送付することができたが、7月1日以降は、2017年12月にサービスを開始したオーストラリア国内向けサイト「Amazon.com.au」に自動的にリダイレクトされることになる。

オーストラリアでは昨今、電子商取引(EC)を通じて海外から商品などを購入する消費者が増えており、アマゾンの今回の措置は、同国政府による越境EC取引への物品サービス税(GST)の課税強化に対応するもの。

現在、一般消費者による1,000オーストラリア・ドル(約8万4,000円、豪ドル、1豪ドル=約84円)未満の物品の輸入についてはGSTを免除されているが、7月1日からはこれが撤廃され、全ての物品の輸入に対してGSTが課税される予定だ。

さらに、事業者側としても年間7万5,000豪ドルを超える売上高がある場合は、オーストラリア税務局にGSTに関する登録を行う必要がある。アマゾン・ドット・コムの今回の対応は、オーストラリアの消費者による取引を「Amazon.com.au」に集約し、同社のオーストラリア法人として税務面で適切に対応するためとみられている。

一方、今回の発表はオーストラリアの消費者から大きな反発を招いている。アマゾン・ドット・コムやイーベイ(eBay)などの米国や英国のサイトからも購入できれば、より多くの商品ラインアップから選択することができるからだ。

ジェトロが2018年3月に実施したオーストラリアのECに関する調査によると、同国のオンラインショッピング利用者の8割以上が海外サイトを通じたショッピングの経験があり、アマゾン・ドット・コムだけに限っても、その膨大な商品ラインアップなどを目当てに、43%が「利用したことがある」と回答している。

(佐藤創)

(オーストラリア)

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