バングラデシュの南アジア地域7カ国への輸出、22.8億ドルと過去最高を記録

(バングラデシュ)

アジア大洋州課

2022年08月31日

輸出振興局(EPB)の輸出統計外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますによると、20212022年度(20217月~20226月)のバングラデシュの南アジア地域協力連合(SAARC、注)加盟国への輸出は、前年比53%増の228,000万ドルと過去最高を記録した。

近年、インドやネパールの市場では、中間所得層の拡大を背景に、バングラデシュ製の衣料品に対する需要が高まっている。特にインドは、バングラデシュに対し、ほぼ全品目を非関税としている(注2)。その恩典を享受するかたちで、インドのみで、バングラデシュから同域内貿易の約87%、199,000万ドルを占めている。ネパールとパキスタンへの出荷も好調で、20212022年度にネパールとパキスタンには、それぞれ1500万ドル以上を輸出している(添付資料表参照)。

今回の結果を受け、ダッカ大学経済学部教授で南アジア経済モデルネットワーク(SANEM)のセリム・ライハン事務局長は、バングラデシュがインドへの衣料品以外の他製品の輸出を増やすチャンスについて言及し、輸出増加には、輸出業者だけでなく、バングラデシュ規格試験機関の試験・認証の能力強化を通じた製品の品質向上が必要、と述べた。さらに、港湾の設備と接続性の向上が貿易コストを削減し、出荷を促進することになる、とコメントした(「デイリー・スター」紙821日)。

世界銀行の調査によると、南アジアは世界で最も統合が遅れている地域で、また最も人口の多い地域の1つであるにもかかわらず、域内貿易は、貿易総額の5%未満にとどまっているという。世界銀行はその制限要因について、道路や海上・航空輸送のインフラの未発達、非関税障壁、投資の制限、などを挙げている。

なお、バングラデシュの衣料品輸出のほぼ4分の3は、EUおよび北米、特に米国向けだ。

(注)南アジア地域協力連合(SAARCSouth Asian Association for Regional Cooperation)加盟国は、南西アジアのインド、パキスタン、バングラデシュ、スリランカ、ネパール、ブータン、モルディブ、アフガニスタンの8カ国。

(注2)インドはバングラデシュに対し、2011年から、アルコール飲料およびたばこ類25品目を除く全ての製品について、後発開発途上国向け無税無枠制度(DFQFDuty Free Quota Free System)を適用し、非関税とした。

(寺島かほる)

(バングラデシュ)

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