ウルグアイとのFTAに署名-発効済みのメルコスール経済補完協定の強化が狙い-

(チリ)

サンティアゴ発

2016年10月17日

 チリのエラルド・ムニョス外相とウルグアイのロドルフォ・ニン・ノボア外相は10月4日、ウルグアイの首都モンテビデオで自由貿易協定(FTA)に署名した。チリと南米南部共同市場(メルコスール、ウルグアイが加盟)間で既に発効している経済補完協定(ACE 35)に、新たなテーマを追加し、両国間の経済・通商関係を強化するのが狙いだ。

<電子商取引や越境サービス貿易などのテーマを追加>

 署名が行われたチリとウルグアイ間のFTAの条文には、20年前にチリとメルコスール間で合意に至った分野に、電子商取引、越境サービス貿易、ジェンダー、中小企業の輸出、労働、環境などのテーマが新たに追加されている(添付資料参照)。

 

 また、チリとウルグアイ間の物品の貿易では現在、チリとメルコスール間の経済補完協定(ACE 35)により、既に関税が完全に撤廃されているものの、貿易円滑化に関して規定する本協定によって、関税手続きの透明化・迅速化、貿易コストの削減などが期待される。

 

 ジェンダーに関する章は、両国において女性の貿易への参加を促進し、両性の平等に関する立法、政策、実践を通じ、経済成長促進にジェンダーの視点を組み込み、女性の役割を強調しようとするもので、世界的にみても革新的だ。

 

 本協定は今後、双方で議会承認を得た後、発効となる。

 

 2015年のチリとウルグアイ間の貿易額は34,800万ドルで、このうちチリからの輸出は14,800万ドル、輸入は19,900万ドルだった。

 

 また、チリからウルグアイへの直接投資は、1990年から2015年までの累積で455,900万ドルに上り、ウルグアイはチリにとって6位の投資先国となっている。現在、ウルグアイへ投資を行っているチリ企業は約70社あり、主な投資先は、製造業79.1%、サービス業10.7%、農林業10.2%となっている。

 

<メルコスールと太平洋同盟の歩み寄りの意味も>

 チリは太平洋同盟(チリのほか、メキシコ、コロンビア、ペルーが加盟)の加盟国で、メルコスールの準加盟国でもある。一方、ウルグアイはメルコスールの加盟国で、太平洋同盟のオブザーバー国でもある。今回の協定署名は、2国間の経済・通商関係の強化にとどまらず、メルコスールと太平洋同盟という中南米の2つの経済ブロック間の歩み寄りといった意味でも歴史的な一歩といえる。

 

(小竹めぐみ)

(チリ)

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