幅広い品目で関税率を0%に引き下げ-公定レート切り下げの国民生活への影響回避を狙う-

(ウズベキスタン)

タシケント発

2017年10月16日

9月初旬に実施した外国為替一本化に伴う措置として、政府は10月1日、関税の見直しを行った。牛肉、魚介類、牛乳、ジャガイモ、小麦粉、石油製品などの関税率を0%に引き下げる。通貨の公定レート切り下げによる輸入品価格の上昇を抑え、国民生活への影響を回避する狙いがある。一方で、国産品と競合する輸入品目の関税率は据え置きとなり、実質的な値上げは避けられない。

10月1日から小麦粉などが0%関税に

政府は10月1日以降の関税を見直した〔大統領決定PP-3303「ウズベキスタンの将来的な対外経済活動の規制に関する施策について」(9月29日付)〕。9月5日実施の通貨の公定レート切り下げ(2017年9月11日記事参照)により、関税支払額は2倍程度に増えることになったが、市民の食生活や国内生産加工への影響を回避するため、幅広い品目にわたって5~30%だった関税率が0%に引き下げられた。主なものは、牛肉(HSコード0201)、冷凍牛肉(0202)、生鮮魚(0302)、冷凍魚(0303)、牛乳(0401)、ジャガイモ(0701)、小麦粉(1101)、ヒマワリ油(1512)といった基礎的な食品のほか、たばこ(24類、製造たばこを除く)、鉱物性生産品(25~27類)、化学工業生産品(28~29類、31~35類、37~38類)、プラスチックおよびゴム・同製品(39~40類)、原皮および皮(41類)、木材・同製品(44~45類)、紡織用繊維・同製品(50~56類、60~62類)、貴金属・同製品(72~83類)、工業製品の材料や部品(84~90類)などだ〔ジェトロ「大統領令PP-3303記載の新旧関税率の比較(ロシア語)エクセルファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)」参照〕。

これに先立ち9月10日から、政府は輸入品の関税や物品税の税率を一部引き下げていた〔大統領決定PP-3254(9月4日付)〕。物品税はシェービングフォーム(3307)、プラスチック製シート(3921)、天然ゴム(4001)、配合ゴム(4005)、不織布(5603)、鉄・非合金鋼(7217)、ビデオ機器(8521)などで15~50%から0%に引き下げられた。

国産と競合する品目の関税は据え置き

他方で、一部の嗜好(しこう)品や国内生産が行われている輸入品目は関税率が据え置かれた。通貨スムの公定レート切り下げに伴って輸入価格が上昇するため、実質的には関税引き上げとなる。主なものは、豚肉(0203)、羊肉(0204)、リンゴ(0808)、コーヒー(0901)、調製トマト(2002)、ジャム(2007)、ケチャップ(2103 20)、水(2201)、ビール(2203)、たばこ(2402)、伝動用ベルト(4010)、ゴム製タイヤ(4011)、絹紡糸(5005)、綿糸(5205、5206、5207)、綿布(5208、5209)、じゅうたん(57類)、61類、62類の既製服の一部、冷蔵庫(8418)、トラクター(8701)、輸送用車両(8702、8703、8704)、生理用ナプキン(9619)など。しかし、これらのうち多くの品目については、既に国内生産により賄われていることから、大幅なインフレにはつながらないとみられる。

(下社学)

(ウズベキスタン)

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