アンワル首相、電子インボイス免除対象の拡大など経済対策発表

(マレーシア)

クアラルンプール発

2026年09月14日

マレーシアのアンワル・イブラヒム首相は8月30日、独立記念日前日のスピーチにおいて、新たな経済対策を発表した(首相府リリース外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます、マレー語のみ)。中東情勢の影響などにより物価が上昇する中、一時的な経済救済策として位置付けられる。

発表された施策は、(1)ガソリン補助の拡大、(2)学校のインフラ改善のための補助拡大、(3)人工知能(AI)人材育成のサポート、(4)医療機関のデジタル化強化、(5)電子インボイス免除対象の拡大(6)マイクロファイナンスへの助成拡大の6つ。

ガソリン補助では、レギュラーガソリンRON95の補助制度「BUDI95」について、補助枠を月200リットルから300リットルに引き上げる。また、軽油補助制度「BUDIディーゼル」の補助枠を従来の月200リットルから月400リットルまで引き上げるとした。BUDI95では1,600万人以上の消費者が、BUDIディーゼルでは50万人以上が恩恵を受ける見込みだ。

AI人材育成については、全てのマレーシア人を対象にAIリテラシー向上のためのオンライン自己学習プログラム「AI untuk Rakyat外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます」を実施している。9月1日からは、所定のコースを修了した18~30歳のマレーシア人10万人に対し、3カ月間、主要なAIアプリケーションのサブスクリプション・サービス(注1)を無料で提供する。

医療機関のデジタル化では、10億リンギ(390億円、1リンギ=約39円)を充て、150の公立病院および2,000以上の公立診療所で電子カルテシステムの導入やインターネット接続の整備を支援する。これにより、診断・治療の迅速化と待ち時間削減を目指す。

電子インボイスでは、免除対象となる年間売上高の基準を現行の100万リンギから300万リンギに引き上げる。300万リンギ未満の企業は電子インボイスの導入が不要となる。中小企業などに恩恵が見込まれる(注2)。

アンワル首相は、独立記念日に当たり、マレーシアには多様な民族が国民として団結してきた強さがあり、この強さを維持していくことが大事だと訴えかけた。また、マレーシアが世界で最も安全な国の1つであることや、国内の好調なマクロ経済動向をアピールした(2026年8月31日記事参照)。さらに、腐敗や権力乱用など違法行為から没収した数十億リンギを教育と健康分野に還元するとした。

(注1)サブスクリプション・サービスの対象として、スピーチでは、マレーシアの財閥YTL傘下のAI企業YTL AI Labsが開発した対話型AIアシスタントILMU Chat、米グーグルが提供するGemini Enterprise、中国アリババ・クラウドによるAI動画制作プラットフォームWonder ClipとAIエージェント取引市場MuleRunが挙げられた。

(注2)マレーシア内国歳入庁の「電子インボイスガイドライン(2026年8月30日発行)PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)」も併せて参照されたい。

(山口あづ希)

(マレーシア)

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