米運輸省、商業宇宙輸送分野での対中競争力強化に向けタスクフォース設置

(米国、中国)

ニューヨーク発

2026年09月11日

米国運輸省(USDOT)は9月9日、商業宇宙輸送に関する省内の政策活動を調整する「宇宙政策の運営・調整・実施におけるタスクフォース(Space Policy Administration, Coordination, and Execution(SPACE)Task Force)」(以下タスクフォース)の設立を発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした。国家安全保障の強化、経済競争力の向上、イノベーションの促進に重点を置いた商業宇宙輸送戦略を推進し、中国との競争を念頭に、米国の商業宇宙輸送分野における優位性の確保を目指す。

今回のタスクフォース設立は、ホワイトハウスが8月20日に発表した「国家宇宙輸送政策外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます(National Space Transportation Policy)」(注1)の実施に向けた取り組みの一環だ。同政策では、「宇宙へのアクセス、宇宙からの帰還、および宇宙空間内での移動能力は、米国の国家安全保障および経済安全保障上の重要利益である」としている。それに基づき、打ち上げ・再突入用のインフラ開発・利用における官民協力や、宇宙産業における人材育成など複数の項目にわたる施策が公表された。また2030年までに、年間1,000回を超える打ち上げ、および再突入を前提とする宇宙港(スペースポート、注2)の運用体制確立を目指すことも盛り込まれた。タスクフォースでは、こうした国家宇宙輸送政策の実施や省内調整を担う。

タスクフォースは、DOTのライアン・マコーマック政策担当次官が率いる。そのほか、これまで省内で宇宙関連業務を担ってきた連邦航空局(FAA)や、法務室、研究・技術室、運輸政策室、複合輸送貨物政策室、航空・国際関係室といった複数部局の専門家によって構成されている。商業宇宙輸送政策に省内横断で取り組む体制が明確に打ち出された。

なお、DOTは今回の発表に併せ、同政策の実施に関連する取り組みとして、(1)新たな打ち上げルートの開発外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます、(2)民間宇宙関連施設へのアクセス道路に対する投資外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます促進(2026年6月18日記事参照)、(3)米国内の新たな宇宙港建設候補地に関する一般からの提案募集外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます、(4)民間宇宙事業の許認可手続きの効率化外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますへの試みも紹介した。

DOTのショーン・ダフィー長官は、タスクフォースの設置を発表した声明で、2025年の世界の商業宇宙打ち上げ329回のうち米国が217回を占めたとした。その上で、2035年までにFAAの許認可を受けた打ち上げ・再突入が年1万回に増加するとの見通しを示し、「今回のタスクフォースにより、宇宙輸送の次の時代は中国ではなく、米国によって主導されることになる」と述べた。

(注1)国家宇宙輸送政策は、1994年にクリントン政権が策定PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)した。直近では2013年にオバマ政権が改定外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますし、2026年8月にトランプ政権が現在の政策に置き換えた。

(注2)ロケットや宇宙船の打ち上げ・再突入に使用される施設や拠点を指す。

(大原典子)

(米国、中国)

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