アイスランド国民投票でEU加盟交渉再開反対が多数、現政権下での交渉再開は見送り

(アイスランド、EU)

ロンドン発

2026年09月02日

アイスランドで8月29日に行われたEUとの加盟交渉再開を問う国民投票(投票実施に至る経緯については2026年6月8日記事参照)で、反対が賛成を上回った。

同国民投票は、「アイスランドはEUとの加盟交渉を再開すべきか」との質問に「はい」か「いいえ」で投票するもの。アイスランド国営放送RÚVの発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますによると、「はい」が47.2%に対し、「いいえ」が52.8%で上回った。賛否の状況を選挙区ごとにみると、首都レイキャビクでは「はい」が上回ったが、それ以外の選挙区では「いいえ」が上回った(添付資料図参照)。投票率は82.5%だった。

同国民投票を巡っては、賛成派は米国のドナルド・トランプ大統領がデンマーク自治領グリーンランドの領有に意欲を示す状況下において、安全保障の観点からEUとの結びつきを強めることや、通貨の安定性を高めるためにユーロを導入することの必要性を訴えた。一方、反対派は主要産業である漁業の管理権を失う可能性があることに懸念を示していた。

8月30日付の政治専門ニュースメディアのポリティコによると、アイスランドのクリストルン・フロスタドッティル首相は同日の記者会見で、「現政権下ではEUとの加盟交渉は行われない」と述べた一方で、「EU加盟は次回の総選挙の争点となる可能性が高い」とした。また、2013年から交渉を中断し、現在もなお有効な2009年のEU加盟申請を撤回するか否かについては、「現状を把握し、加盟申請をどうするかを決定することが極めて重要」と述べるにとどめた。

8月30日付ユーロニュースによると、欧州理事会のアントニオ・コスタ常任議長の報道官は、「EUは、アイスランドの国民投票における民主的な選択を全面的に尊重する。アイスランドは今後もEUにとって最も緊密で信頼できるパートナーの1つであり続ける」と述べた。また、8月31日付ブルームバークによると、欧州委員会のマルタ・コス委員(EU拡大、東方近隣政策担当)は同誌のインタビューに応じ、「個人的に残念」と述べた一方で、アイスランド国民の約47%が交渉再開に賛成したことを強調。欧州経済領域に加盟する同国は「今後もEUの枠組みと深く統合された状態を維持する」と指摘した。ウルズラ・フォン・デア・ライエン委員長は8月31日時点で、声明を発表していない。

(齊藤圭)

(アイスランド、EU)

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