メキシコ政府、公共調達における国内産鉄鋼調達率を新たに定める規則改正を発表
(メキシコ)
メキシコ発
2026年09月10日
汚職防止・良き統治省は8月31日、「連邦行政府および各機関が締結する調達手続きにおいて、入札・納入される物品の国内産品比率の算定、認定および検証に関する規則、ならびに公共工事の調達における国内産品比率要件の適用に関する規則」を改正し、新たに国内産鉄鋼製品の調達比率を定めたと発表した。同規則は官報公示日の翌日から施行となり、本改正前に開始された調達手続きには遡及(そきゅう)しないとした。2010年に施行され、2025年に発表された「プラン・メキシコ」(2025年1月17日記事参照)における国内産品の公共調達比率を50%以上にするという目標達成に向け、同規則は2025年8月11日、2026年1月29日に改正されていた。また、クラウディア・シェインバウム大統領が署名した「メキシコ鉄鋼産業振興協定」(2026年5月8日記事参照)に盛り込まれた公共調達における国産鉄鋼製品の活用促進を目指す合意を達成するために、今回の改正を行ったことを明かした。
同規則の改正において、既に国内調達率を規定されていた資材・機械および機械設備に加えて建設用鋼材が新たに追加された。同規則2.2.7則で建設用鉄鋼製品に関する国産の要件を新たに設置し、14則では公共工事の契約手続きにおける国内調達率の計算式(注1)に国産鉄鋼資材の価額を追加した。また、15則bでは、建設用鋼材の国内調達率の計算式(注2)を新たに設定し、建設用鋼材の対象となるリストB(注3)を別添として追加した。15則cおよびdでは、プロジェクトにおける国内調達率および建設用鋼材の国内調達率を順守していることを証明し宣誓する義務が課された。落札した事業者は建設鋼材の証明として、ミルシート(鋼材検査証明書)または品質証明書、メキシコ公式規格(NOM)に基づき発行された証明書、CFDIや輸出入通関申告書なども提出が義務付けられた。17則で成果物の引き渡し日から起算して、7年間の書類保存義務も追加された。24則における一括請負プロジェクト(注4)の調達手続きの公告においては総見積額の最大25%に相当する国内調達額を定めており、25則でも24則以外の入札公告において、プロジェクトの総額の25%以上で40%未満となる範囲で国内調達要件を課すとしていたが、この要件においても建設用鋼材が含まれるとした。
本改正はオフセット条項に抵触するかが争点
米国・メキシコ・カナダ協定(USMCA)や、環太平洋パートナーシップに関する包括的および先進的な協定(CPTPP)などの自由貿易協定(FTA)において、基本的に国内調達率を定めるオフセット条項を原則禁止しているものの、それぞれ例外規定が存在する(注5)。その例外規定を超える範囲で、国内調達率を定めた公共調達が行われた場合、FTA違反となる可能性が高い。また、2026年2月13日に官報公示された建設用鋼材に関するNOMである「NOM-251-SE-2025」に関して、8月12日より施行されているものの、実際の運用が不透明となっており、建設用鋼材に関する調達にも影響が出ている。今後も建設用鋼材に対する規制が強化・変更される可能性が高いため、関連する企業は注意が必要だ。
(注1)国内調達率(CNP)=(プロジェクトにおける国内製造の資材・機械・機械設備の価額(VSN)+プロジェクトにおける建設用国内鋼材の価額(VAN))/契約対象となるプロジェクトの総額(VTP)×100
(注2)建設用鋼材の国内調達率(CNA)=VAN/総建設用鋼材価額(VTA)×100
(注3)建設用鋼材として対象となるリストBは、当該官報(スペイン語)参照。
(注4)2.3.4則にて、主に完全に稼働可能な状態で引き渡しを行うターンキー契約または大規模統合プロジェクトのことを指している。
(注5)USMCA第13章(政府調達)セクションFの7a、CPTPP第15章(政府調達)付属書15-A(メキシコの政府調達付属書)の13aに、(i)労働集約型のターンキー事業または大規模統合プロジェクトにおける現地調達要件を40%以下、(ii)資本集約型のターンキー事業または大規模統合プロジェクトにおけるローカルコンテンツ要件を25%以下の範囲内であれば、政府調達の規定にかかわらず課すことができるとしている。
(阿部眞弘)
(メキシコ)
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