グリーンエネルギーのハブへの発展を目指すハリッジ港、現地の関係者に聞く
(英国)
ロンドン発
2026年09月16日
英国イングランド東部のフリーポート(2026年9月15日記事参照)内に立地するハリッジ(Harwich)港は、2029年までに拡張工事に着工し、グリーンエネルギーのハブとなることを目指す(添付資料図参照)。ジェトロは2026年8月18日、現地を訪問し関係者にヒアリングを行った。
拡張予定箇所の完工後のイメージ(フリーポート・イースト提供)
同港を保有するのは香港系企業のハチソン・ポーツ(Hutchison Ports)で、同社の担当者は、ネットゼロ実現に向けた洋上風力発電の開発促進において、大型のタービンやタワー(注1)、ナセル(注2)の受け入れ、および製造が可能な港湾の不足がボトルネックとなっていると指摘した。その上で、拡張工事後に122ヘクタールの敷地、1.4キロメートルの海岸線、15メートルの水深を有することになる同港はこれらの要件を満たすとし、既に開発許可を取得済みである点も強調した。また、フリーポートの税制優遇が進出企業へのメリットとなることを訴求し、既にデベロッパー、メーカーなどから多くの関心が寄せられていると指摘。現在計画されている港湾への投資やインフラ構築は、プロジェクトにおける優先順位も高く、日本の投資家やサプライチェーンに関連する企業が参加する機会となるとした。
ハチソン・ポーツによると、ハリッジ港から140カイリ(約259キロメートル)以内には建設中や計画中も含めて40ギガワット(GW)相当の洋上風力発電プロジェクトがあり、同港では運転・保守(O&M)施設の増加も見込まれる。同海域で運転中のギャロパー(Galloper)洋上風力発電所
のO&M施設は既にハリッジに立地し、365日体制で対応に当たっている。同施設の担当者は、洋上風力発電所のO&Mにおける課題として天候を挙げた。悪天候下では発電所にたどり着くことが困難となるため、天候が安定する夏季に必要な保守作業を済ませることが安全面、収益面で重要だという。
外国企業の進出事例としては、オーストラリアのシドニーに本社を置くラックス・エナジー(RUX Energy)がある。
同社は2024年9月、ハリッジにエンジニアリングオフィスを開設。金属有機構造体(MOF)技術(注3)を用いた低コストかつ安全性の高い水素貯留技術を開発するスタートアップで、2028年の主力製品の販売を目指している。同社の担当者はハリッジを選んだ理由として、グリーン水素への投資が活発な欧州への進出に当たり、英国市場だけではなく、ロッテルダム港を経てオランダやドイツ中北部といった主要市場へのアクセスも容易である点を挙げた。
(注1)風力発電設備において風車全体を支える柱。
(注2)風力発電設備においてタワーの頂部に設置される発電機や増速機などの主要機器を収納する機械室。
(注3)液体や気体から物質を除去、分離する際に用いられる多孔質材料で、複雑な構造設計が可能なことから、従来の多孔質材料と比較して吸着性に優れるなどの特性を有する。
(齊藤圭)
(英国)
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