英国最大のコンテナ港フェリクストウ、フリーポート活用で広がる商機を現地関係者に聞く

(英国)

ロンドン発

2026年09月15日

英国東部サフォーク州に位置するフェリクストウ港は、香港系企業のハチソン・ポーツ(Hutchison Ports外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)が運営する英国最大のコンテナ港であり、国内のコンテナ取扱量の約38%を担う物流拠点だ。欧州大陸との間を結ぶフェリーが毎日7便運航されているほか、日本を含む世界200以上の国・地域との物流ネットワークを有しており、英国の国際物流を支える主要港の1つだ。ジェトロは8月18日に現地を訪問し、フリーポート活用で広がる商機について関係者へのヒアリングを実施した。

同港は英国政府の対内投資促進策の一環であるフリーポート(自由港)の1つ、フリーポート・イースト(Freeport East外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)の主要拠点。同フリーポート内の指定区域では、貨物の保管、加工、製造などに関する関税上の優遇措置や、事業用固定資産税の減免、設備投資に対する税制優遇などの支援策が講じられている。これにより、進出企業は英国市場向けのみならず、欧州を含む海外市場向けの輸出拠点としても同区域を活用できる。なお、フリーポート・イースト全体では現在7社が税制優遇区域内に進出しているが、その大半は近隣港湾のハーウィッチおよび物流・産業団地のゲートウエー14に立地している(添付資料図参照)。

投資誘致担当者によると、フェリクストウ区域には約140万平方フィート(約13万平方メートル)の開発可能用地があり、進出企業のニーズに応じて施設を設計・建設する「ビルド・トゥ・スーツ(Build-to-Suit)」方式による開発が進められている。床荷重や天井高、レイアウトなどを柔軟に設計できるため、多様な用途に対応した施設整備が可能だ。

また、同区域では脱炭素化を重要課題の1つとして位置付け、再生可能エネルギー分野の企業誘致を行っている。特に英国では洋上風力発電の導入拡大が進んでおり、送電網の整備や、電力供給の安定化に向けた蓄電池設備への需要が高まっている。ハチソン・ポーツ関係者は、こうした関連技術に強みを持つ日本企業がフリーポート内に進出し、製造や組み立て、物流拠点を設けることで、需要が旺盛な英国市場に近い場所で生産・供給体制を構築できるとの見方を示した。

さらに、物流効率化を支える取り組みとしてデジタル化も進められている。港内では、有人車両が行き交う環境下でも安全に走行可能な、中国企業の西井科技(Westwell外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)が納入した完全自動運転トラックが約70台運用されており、将来的には約100台体制への拡大が計画されている。こうした取り組みを通じて、フェリクストウ港は物流の脱炭素化とデジタル化を進め、欧州有数の先進港湾として存在感を高めている。

写真 フェリクストウ港〔フリーポート・イースト提供:撮影者ジェフ・ウェルチ(Jeff Welch)氏〕

フェリクストウ港〔フリーポート・イースト提供:撮影者ジェフ・ウェルチ(Jeff Welch)氏〕

(植松麗良)

(英国)

ビジネス短信 9b4952a9e3eb2acf