シェインバウム大統領、第2次年次教書を発表

(メキシコ)

メキシコ発

2026年09月11日

メキシコのクラウディア・シェインバウム大統領は9月1日、大統領就任から2回目となる年次教書演説を行った。演説の中でシェインバウム大統領は、米国の関税政策の変更やイラン情勢による原油価格上昇などの厳しい国際情勢に直面したにもかかわらず、メキシコ経済は安定を保ち、前進を続けているとした。

第2次年次教書の内容(添付資料参照)については、まず財政政策を取り上げた。2025年は前年比で経常支出を2,000億ペソ(約1兆8,200億円、1ペソ=約9.1円)削減したほか、歳入が6兆460億ペソで過去最高、2026年1~8月の税収も前年同期比1,490億ペソ増となったなど、歳出を抑え税収を増加させたことを強調した。経済・投資政策では、対内直接投資額が2026年上半期で約350億ドルと過去最高を記録(2026年9月7日記事参照)したほか、GDPも2026年第2四半期が前年同期比1.9%増(季節調整値)、メキシコ・ペソは1ドル=約17ペソと通貨が強いことなどを主張した。福祉・教育政策では、社会福祉プログラムでの支出が1兆ペソに到達し、受給者は4,286万人超となったことを明かした。また、初等教育から高等学校までの全てで奨学金制度を実施することで、幅広く国民に対して教育の機会を提供していることも強調した。労働政策では、全国最低賃金(一般最低賃金)は2018年の月額2,800ペソから2026年で9,582ペソへ増加し、労働貧困率は2005年以来過去最低となったことを成果に挙げた。そのほかにも、エネルギー政策の1つである国営石油公社(PEMEX)の債務を200億ドル削減したことや、鉄道、炭化水素、電力、道路など大規模インフラ事業への投資に関する実績を掲げた。

野党は非正規雇用やインフラ事業のコストを批判

第2次年次教書に関して、テレビ討論番組で与党の国家再生運動(MORENA)、野党の制度的革命党(PRI)、国民行動党(PAN)の議員の間で激しい議論が行われた(「エル・ヘラルド」紙9月2日付)。PRIのカロリーナ・ビッジャーノ上院議員は、メキシコが財政赤字であることを取り上げ、政府が国家財政に影響を与えることなく社会福祉プログラムを維持できるか疑問を呈した。また、労働問題に対して、最低賃金の引き上げは前向きな側面として認めたものの、労働人口の約55%が納税義務を履行していないインフォーマル就労であることが依然として課題であるとした。PANのフェデリコ・ドーリング下院議員は、大幅な赤字を抱えるPEMEXの財務状況や、マヤ鉄道やテワンテペック地峡における鉄道事業など大規模インフラ事業に対して多額の公的資金を投入しているにもかかわらず、当初の運営目標を達成できていないと批判した。一方、MORENAのアルトゥーロ・アビラ下院議員は、福祉プログラムの加入者数増加や治安の改善、最低賃金の上昇を成果とし、経済面でも対内直接投資や雇用、輸出において高い水準を記録していること、ドルに対してペソ高基調であることを述べ、与野党で意見が分かれる結果となった。

(阿部眞弘)

(メキシコ)

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