イラク政府、武器の国家管理巡り取り組み加速の見方示すも、武装組織との協議続く
(イラク)
ドバイ発
2026年09月18日
イラク政府は国家の武器保有独占を実現するため、さまざまな武装組織との協議を続けている。イラク軍最高司令官であるアリー・ゼイディー首相の軍事担当報道官は9月10日、米国主導の対イスラム国(IS)有志連合によるイラク国内での任務が9月30日に終了すれば、武器の国家管理に向けた取り組みが加速するとの見方を示した。一方、その実施方法はいまだまとまっていない。一部の武装組織は武器引き渡しや国家治安機関への統合に反対している。
ゼイディー政権は発足直後から「武器の国家管理」を主要課題に掲げてきた。人民動員隊(PMF)傘下の有力組織を含め、国家の統制外で活動する武装組織に対し、武器の引き渡しや、部隊と指揮系統を国家の統制下に置くことを求めている(2026年9月2日付地域・分析レポート参照)。首相は7月14日、9月30日以降は武装組織は必要なくなるとの認識を示し、一部の組織から既に大量の武器を受け取ったと説明した。
9月30日は武器の引き渡し期限ではなく、有志連合の任務終了を機に国家管理を次の段階へ進める節目と位置付けられている。主要政治勢力で構成される国家運営連合は8月5日、9月30日以降に国家の統制外で行われる軍事活動は反テロ法に基づいて対処されると表明した。米軍を含む有志連合部隊は同日までの撤収が予定されるが、米国との安全保障関係は継続し、2国間の安全保障協力に移行する方針だ。
武器の国家管理に向けた手続きは徐々に具体化している。政府報道官は8月21日、政府が6つの武装組織と協議しており、一部は政府案に前向きだと説明した。8月27日には、一部武器の台帳作成と指定保管場所への移管、要員情報のデータベース整備が始まっていることも明らかになった。首相の安全保障顧問は9月2日、武器の移管先としてPMF委員会が有力な選択肢だとしつつ、武器管理と軍事行動の意思決定を首相の統制下に置くことが重要との考えを示した。
ただ、武装組織側の反発は残る。ロイターは9月9日、シーア派政治関係者や治安関係者の話として、イランと連携する5つの武装組織が、9月30日までの武器引き渡し、組織解散、国家治安機関への統合を拒否していると報じた。PMF傘下イランと連携するシーア派武装組織のヌジャバ運動も10日、協議は数カ月続く可能性があるとの見方を示した。政府側は武器登録など一部実務に着手したが、武器を物理的に移管するのか、PMF内に置いたまま使用権限や指揮系統を国家に集約するのかなど、核心部分はなお協議中だ。
(大野晃三、オマール・アル・シャメリ)
(イラク)
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