中東紛争下でも世界経済は回復力を維持、OECD見通し
(世界)
調査部国際経済課
2026年09月24日
OECDは9月23日、最新の「世界経済見通し中間報告
」を発表し、世界経済の成長率(実質GDP伸び率)について、2026年を2.9%、2027年を3.0%と予測した(添付資料表1、2参照)。6月の前回見通し(2026年6月5日記事参照)から、2026年は0.1ポイントの上方修正、2027年は0.1ポイントの下方修正となった。G20諸国のインフレ率は、2026年に4.1%となった後、2027年には3.6%まで低下すると予測したものの、2026年は前回から0.1ポイント、2027年は0.5ポイントいずれも上方修正した。
今回の見通しでOECDは、2026年上半期の世界経済成長は鈍化したが、中東紛争のマイナス影響にもかかわらず、多くの国で回復力を維持したと評価した。豊富な石油在庫、湾岸諸国以外からの追加購入、政府の支援措置などが、紛争による世界経済への影響を緩和したと分析した。また、引き続き好調な人工知能(AI)関連の活動も投資や生産を促したと指摘した。
主要国・地域別では、米国の成長率は2026年に2.2%と前回見通しから0.2ポイント、2027年に2.1%と0.3ポイントそれぞれ上方修正された。AI投資の勢いが引き続き拡大しているものの、購買力低下や労働力増加の鈍化、家計貯蓄の減少により、消費支出が制約を受けるとした。ユーロ圏の成長率は、2026年は前回から0.2ポイント上方修正、2027年は0.2ポイント下方修正された結果、いずれも1.0%の緩やかな成長となる見込み。最近のエネルギー価格上昇と政策金利引き上げが経済活動の重荷となる一方、将来的なエネルギー価格の下落と防衛費支出の加速により、その影響は緩和されていくと見込んだ。中国は、2026年は前回から据え置きの4.5%、2027年は0.1ポイント下方修正され4.2%と減速する見通しだ。インフレ率の段階的な上昇が消費を圧迫する一方、政府の過剰生産抑制策により、投資の伸びが抑えられることを要因に挙げた。
OECDは、中東紛争の不確実性は、依然として今回の予測における大きなリスクとなっており、今回の見通しは特にエネルギー市場の動向に不確実性をはらむとした。エネルギー市場の正常化が早まればインフレ圧力が緩和されるが、供給途絶が再発したり、より長期化したりすれば、インフレ率の上昇と成長の鈍化の両方を招く可能性があると指摘した。他方、ホルムズ海峡の迅速な通航再開を含む中東紛争の短期的な解決は、上振れ要因になりうるとした。
その他の重大な下振れリスクとして、強力なエルニーニョ現象などの異常気象を挙げ、これが農業生産に影響を与え、食料価格上昇などを招く恐れがあるとした。また、長期国債利回りのさらなる上昇や、期待を下回るAI投資収益が、資産市場の価格再評価を促し、成長見通しを弱める可能性にも言及した。一方で、生産性向上に貢献するAI技術の導入が加速すれば、予想を上回る成長が見込まれる可能性も示唆した。
(熊谷佐和子)
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