イラク政府、サウジアラビアに飛来した無人機の発射台をイラク領内で回収

(イラク、サウジアラビア)

ドバイ発

2026年09月15日

イラク政府は9月12日、サウジアラビアの東西原油パイプラインを攻撃した無人機が、イランと国境を接するイラク南部のミーサーン県内から発射されたと発表した。サウジアラビアのエネルギー省によると、同パイプラインは10日、複数回の攻撃を受け、負傷者が出た(2026年9月14日記事参照)。サウジアラビア政府は設備の安全確認のため同パイプラインを予防的に停止した。9月14日午前時点で再開時期は公表されていない。

イラクのアリー・ゼイディー首相は9月12日、発射地点がミーサーン県内だったとの確認を受け、同県作戦司令官を解任し、調査委員会の設置を指示した〔イラク国営通信(INA)9月12日〕。イラク軍・治安機関の広報を統括する治安広報チーム(SMC)は同日、攻撃に使われた無人機発射台をイラク領内で回収したと発表し、実行者の特定を進めている。

イラク当局は捜査・治安対策の一環として、イランとの国境にあるシャラムチェ(バスラ県)、シーブ(ミーサーン県)、マンダリ(ディヤラ県)の3県の国境検問所を閉鎖した。閉鎖期間中も、ほかの対イラン国境検問所では商業関係者らの通行が続いた。

今回の攻撃について犯行声明は出ていない。イランと関係の深い複数のシーア派武装組織からなるとされる「イラクのイスラム抵抗運動」(注)は9月12日、今回の攻撃への関与を否定した。イラク政府も9月14日時点で、攻撃に関わった組織を特定していない。

イラク領内からサウジアラビアの石油施設を狙ったとされる無人機攻撃は、7月にも発生している。サウジアラビア政府は7月27日、東部州とリヤド州の石油施設を狙った複数の無人機がイラク領内から発射され、イランの支援を受ける武装勢力が実行したと発表していた。

東西原油パイプラインはサウジアラビア東部の油田地帯から西部の紅海側ヤンブーまで約1,200キロを結び、ホルムズ海峡を通らず原油を輸送できる。同海峡の通航が大幅に制限される中、このパイプラインは同国の原油輸出を支える迂回路として重要性を増していた。同国エネルギー省によると、最大送油能力は日量約700万バレル。

パイプラインの停止に加え、サウジアラビア国内への新たな攻撃や湾岸での船舶攻撃などが供給懸念を強め、9月14日の原油市場では北海ブレント先物が約3%上昇し、1バレル=108ドル前後となった。9月14日付ロイターによると、同パイプラインは攻撃前、日量400万~500万バレルを輸送していたとみられる。

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(注)「イラクのイスラム抵抗運動(Islamic Resistance in Iraq)」は、イランと関係の深い複数のシーア派武装組織による連合体。2023年以降、イスラエルやイラク、シリアの米軍施設などへの無人機・ミサイル攻撃を繰り返してきた。ロイターによると、約10の武装組織と約5万人の戦闘員で構成され、長距離ミサイルや対空兵器などを保有している。

(大野晃三、オマール・アル・シャメリ)

(イラク、サウジアラビア)

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