ブラジル、データセンター税優遇制度を法制化
(ブラジル)
サンパウロ発
2026年09月17日
ブラジルで9月15日、データセンター建設の促進を目的とした税優遇制度「データセンター事業奨励特別プログラム(Redata)」を規定する法律第15504号が公布された。同プログラムは2025年9月に大統領暫定措置令(MP)第1318号によって導入されたが(2025年9月25日記事参照)、2026年2月に失効していた(注1)。
同制度では、データセンター建設に必要な電子部品やIT・通信機器購入時に、輸入税(II)、工業製品税(IPI)、社会統合基金・公務員厚生年金(PIS/PASEP)、社会保険融資負担金(COFINS)などの連邦税の支払いが免除される(注2)。また、MP第1318号と同様、税優遇措置の適用を受けるため、次の条件が定められている(注3)。
- データ処理・保管能力の最低10%を国内市場向けに提供すること(注4)。
- 電子部品やIT・通信機器購入総額の2%相当額を研究開発に拠出すること(注5)。
- 水使用効率(WUE)を、1キロワット時(kWh)当たり0.05リットル以下に抑えること(注6)。
一方、税優遇措置の適用対象となるデータセンターが使用する電力の要件には変更が加えられた。前回のMPではクリーンまたは再生可能エネルギー由来の電力のみの使用が認められていたが、法律第15504号では、再生可能エネルギーまたは低排出量エネルギー由来の電力のみの使用が義務付けられた。低排出量エネルギー由来の電力の定義については、今後、連邦政府が定める。
この定義を巡っては、天然ガスの扱いが焦点となっている。アレシャンドレ・シルベイラ鉱業エネルギー相は9月2日、記者団に対し、「私は天然ガスを支持している。ブラジルで大規模なデータセンターの導入を進める上で、Redataは非常に大きな前進となる。そして、天然ガスもまた、その実現を支える有力な選択肢の1つだ」と述べた。また、開発商工サービス省(MDIC)のウアラセ・モレイラ産業開発・イノベーション・貿易・サービス局長は、現地紙「エスタード」(9月9日付)のインタビューで、Redataの規則では原子力、天然ガス、風力、太陽光、水力、地熱、海洋、バイオ燃料など幅広い電源が対象となる見通しだと述べた。
一方、現地紙「バロール」(9月15日付)によると、財務省内には天然ガスを低排出量エネルギーとみなすことに慎重な意見がある。そのため、連邦政府によるRedataの詳細規定を巡る議論は今後も継続すると報じた。財務省のロジェリオ・セロン筆頭次官はエネルギー産業情報サイト「アジェンシア・インフラ」(9月16日付)に対し、低炭素電源の範囲をどこまでとするかについて、政府内ではなおコンセンサスが得られていないと述べた。
(注1)MPは公布後に国会の承認が必要で、最長120日間の審議期限が設けられる。MP第1318号は期限内に承認されなかったため、2026年2月25日に失効した。
(注2)正確には、支払いが猶予され、所定の要件を満たした後に税率ゼロが適用される。優遇措置の有効期間は5年間。ただし、IPI、PIS/PASEP、COFINSは憲法改正法第132号に基づき2027年1月1日以降に廃止される予定であり、これらに係る税優遇措置の適用は2026年12月31日までとなる(2024年3月21日付地域・分析レポート参照)。また、IIの優遇は国内に同等品の生産がない品目に限られ、IPIの優遇はマナウス・フリーゾーンで製造される品目には適用されない。
(注3)法律第15504号では、このほか、既存データセンターの近代化プロジェクトも対象に加えられたほか、WUEや電源構成を含む持続可能性報告書のウェブ公表が義務付けられた。国内市場向け提供の条件は、法律上「処理・保管能力」から「実際の供給量」に文言が改められている。
(注4)地方都市の開発を目的に、北部、北東部、中西部に設置されるデータセンターについては、国内向け提供割合が8%に緩和される。なお、国内向け提供の義務は、機器購入額の10%相当額を研究開発に追加拠出することで代替できる。
(注5)北部、北東部、中西部地域における研究開発拠出割合は1.6%。
(注6)WUE(Water Usage Effectiveness)は、年間の水使用量をIT機器の消費電力で除した指標で、法律上、年1回の測定が義務付けられている。
(エルナニ・オダ)
(ブラジル)
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