ジェトロ、起業家育成支援プログラム欧州コースのキックオフ、脱炭素・循環経済市場が対象
(日本、オランダ、スペイン)
アムステルダム発
2026年09月11日
ジェトロは8月31日~9月1日にかけて、海外展開を目指す起業家育成プログラム「J-StarX」で、欧州の脱炭素・循環経済市場を対象としたアドバンスドコース「Global Growth for Climate Tech in Europe」のキックオフを東京都内で開催した。本コースには、欧州市場での事業拡大を目指す日本のクライメートテック分野のスタートアップ5社が参加する。
EUの欧州グリーン・ディールやクリーン産業ディールをはじめとする政策の下、脱炭素化や循環型経済の実現に向けた取り組みが加速する欧州は、クライメートテック分野において世界をリードする市場の1つとなっている。
本コースは、欧州市場での事業拡大を目指す日本のスタートアップを対象に、現地市場や規制への理解を深めるとともに、顧客候補や事業パートナー、投資家との接点を創出することを目的としている。
連携先は、欧州最大級の気候イノベーション機関であるClimate KIC
。オランダ・アムステルダムに本拠を構え、EU機関「欧州イノベーション・技術機構(EIT)」のイニシアチブとして2010年に設立された。同機関はこれまで6,000社を超えるスタートアップを支援し、気候変動対策に向けたイノベーション創出を支援しており、日本のスタートアップ、事業会社、投資家などとの連携にも関心が高い。
本コースは東京でのキックオフを実施後、Climate KICによるメンタリングや専門家セッションを通じて欧州市場への理解を深めるもの。各社の事業内容や事業進展状況に応じて、欧州各地で開催される関連イベントや展示会、潜在顧客・パートナーとの面談機会に合わせた現地渡航を順次実施していく予定。
コース期間を通して各社に専任メンターが伴走支援し、同分野の専門家や企業とのネットワークを活用しながら、欧州特有の規制環境や市場構造、ビジネス慣行などについて実践的な知見を提供する。さらに、現地での顧客開拓やパートナー探索を支援し、参加スタートアップの欧州市場進出を後押しする。
前年度は、養豚産業向け人工知能(AI)ソリューションを展開するEco-Pork
が、Climate KICのメンターによる紹介を通じてスペインの大手食肉加工企業FACCSAと接点を構築し、現地での実証事業に発展した(2026年7月2日記事参照)。こうした欧州企業との具体的な事業連携は、本コースが目指す市場開拓支援の成果の一例となっている。
今回、本コースに採択されたのは次の5社。いずれも気候変動や資源循環といった欧州が重視する社会課題に対し、独自の技術やソリューションで挑戦する企業だ。
-
Bioworks
:植物由来の次世代繊維素材を開発。化石燃料由来素材への依存低減を通じて、サステナブルな繊維・アパレル産業の実現に挑む。 -
Jikantechno
:農業残渣(ざんさ)などの未利用バイオマスから高機能カーボン材料やシリカを製造。資源循環や次世代電池材料への活用が期待される。 -
Nexresin
:卵殻などの未利用資源を活用した新素材を開発。プラスチック使用量の削減や資源循環型社会の実現を後押しする。 -
Novelgen
:微細藻類技術を活用し、CO2固定や水処理など環境課題の解決に取り組む。脱炭素社会の実現や持続可能な産業システムへの貢献を目指す。 -
Sunshiki
:海藻由来の飼料原料を活用し、牛などの家畜から排出されるメタンの削減を目指す。農業・畜産分野の脱炭素化に貢献する。
欧州では近年、産業競争力の強化と脱炭素化を両立する動きが加速しており、クライメートテック分野のスタートアップに対する期待も高まっている。本コースを通じて各社は欧州のエコシステムとの接点を深め、顧客やパートナーとのネットワーク構築を進めながら、グローバル市場での成長を目指す。日本発クライメートテックスタートアップによる欧州での挑戦が注目される。
(奥井浩平、伊藤志野)
(日本、オランダ、スペイン)
ビジネス短信 583f25294d53d6f8





閉じる