中国企業、セルビアで欧州初の人型ロボットの量産を開始

(中国、セルビア)

上海発

2026年09月11日

セルビア西部シャバツ市で8月29日、中国の自動車部品大手ミンス(敏実集団)とロボット開発企業Agibot(智元創新)の提携による人型ロボットの量産が始まった。ミンスの発表によると、欧州初の人型ロボットの量産となる。開所式にはセルビアのアレクサンダル・ブチッチ大統領が出席した。

工場では、ミンスの工業生産に関する知見やセルビアで構築した生産基盤と、Agibotの人型ロボット、人工知能(AI)、ロボットシステムの技術を組み合わせる。第1期の投資額は2,000万ユーロ。次の段階では、首都ベオグラード市近郊のインジヤ市にロボット産業団地を建設する計画で、完成後の年間生産能力を人型ロボットと犬型ロボットの合計で最大2万台とする。製品は欧州をはじめ世界各地へ輸出する予定だ。

ブチッチ大統領は、初期段階で年間5,000台超の生産と約200人の雇用創出を見込むと述べた(「環球時報」8月31日)。

生産予定の具体的な製品名は公表されていない。なお、英国では、移動通信プロバイダーのScancomがAgibotの人型ロボット「X2 Ultra」「A2 Ultra」「A2 Lite」などを取り扱っている。

中国紙「環球時報」がセルビア紙「ブリッツ」の報道として伝えたところによると、これらのロボットは、アンモニアや硫酸などの危険物の積み下ろしといった危険を伴う作業のほか、人手不足が課題となっている高齢者介護分野での活用が想定されている。セルビア政府は約80台を調達し、2027年ベオグラード国際博覧会で来場者対応や清掃などに活用する計画だ(「環球時報」8月31日)。

今回の進出について、電気通信・インターネット分野のアナリスト、馬継華氏によれば、セルビアが中・東欧と西欧を結ぶ物流上の要衝であることに加え、近年の中国企業の工場進出によって、製造業とサプライチェーンの基盤が形成されていることが背景にあるという。ミンスは「環球時報」の取材に対し、2018年のセルビア進出以来、既に同国に10工場を建設したと説明した(「環球時報」8月31日)。同社によると、シャバツ市では2,000人超を雇用している。

また、中国とセルビアは2023年10月、中国にとって中・東欧諸国との初の自由貿易協定(FTA)となる中国・セルビアFTAに署名した(2023年10月20日記事参照)。習近平国家主席は2024年5月にセルビアを公式訪問し、ブチッチ大統領とともに、「包括的・戦略パートナーシップの深化・強化、セルビア・中国の共通の未来を見据えた共同体の構築」に関する共同声明に署名している(2024年5月16日記事参照)。

(程玲)

(中国、セルビア)

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