フランス、男女間の賃金格差の是正に向けた賃金透明化に係るEU指令の国内法化法案を閣議決定
(フランス、EU)
パリ発
2026年09月15日
フランス政府は9月10日、男女間の賃金格差の是正に向けた賃金透明化に係るEU指令
(2022年12月22日記事参照)を国内法化する法律案を閣議決定した。同EU指令は、男女間の同一価値労働に対する同一賃金を、求職者への情報開示、被雇用者の情報請求、雇用者による報告・情報開示などによって担保しようとするもので、2023年5月10日に欧州議会およびEU理事会によって採択された。同指令は同年6月6日に発効しており、加盟国は3年以内(2026年6月7日まで)に国内法化を完了する義務を負っていたが、フランスでは国内法整備が未了の状態だ。
今回閣議決定されたフランス国内法案は、「賃金の透明性を通じた男女間の同一賃金に関する2023年5月10日付EU指令2023/970を国内法化する法律案」として、労働・連帯相と公共活動・公会計相によって共同提出された。労働・連帯省が発表したプレス向け資料
(フランス語)によれば、同法案は22の条文からなり、特に50人以上の従業員を雇用する雇用者に対して、男女間の賃金格差に関する7つの指標を申告する義務を課す。前述の条件に該当する民間事業者については、このうち6つの指標は既存の賃金・社会保険などの申告データ(DSNデータ)によって自動計算される。しかし、同一価値労働に従事する労働者のカテゴリー別に男女間に存在し得る報酬格差を示す第7指標については、新たに算出し報告する必要がある。同指標に一定閾値(しきいち)以上の格差がみられた場合の是正義務も規定される。民間部門、公務部門それぞれに経過措置が設けられ、2028年から2030年にかけて順次実施される予定だ。加えて、求職者に報酬レンジなどを通知する雇用者の義務、同一カテゴリーに属する従業員の平均報酬水準に関する情報を被雇用者が得る権利、報酬に関する情報を従業員が共有することを妨げる契約条項を雇用者が設けることの禁止、報酬に係る差別に関する訴訟における立証責任を被雇用者側から雇用者側に転換することも定める。
大統領府が公表した閣議記録によれば、フランス国立統計経済研究所(INSEE)のデータによると、フランスでは、職位および労働時間が同等である場合でも、民間部門におけるフルタイム換算の男女間賃金格差は依然として3.6%、国家公務員でも2.9%となっている。今回の法案は職業上の男女間の平等を促進し、男女間の正当化されない賃金格差を縮小することを目的とする。今後の国会提出や審議スケジュールは、現段階では明らかになっていない。
(加藤直子)
(フランス、EU)
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