財務省が経済見通しを上方修正、輸出と民間投資が牽引
(タイ)
バンコク発
2026年08月13日
タイ財務省は7月24日、最新の経済見通しを発表し、2026年の経済成長率を2.5%と見込んだ。4月時点の前回予測の1.6%から上方修正した。主な要因として、輸出拡大、民間投資の伸び、政府の経済政策に支えられた民間消費の拡大を挙げた。
財務省によると、米ドル建ての財輸出額は12.5%増と、前回予測の6.5%増から大きく上方修正された。世界経済の循環的回復を背景に、主な貿易相手国の需要が改善し、工業製品の輸出が伸びていると分析している。
内需も引き続き拡大すると見込まれている。民間投資は9.0%増を予測しており、機械・設備投資の堅調な伸びに加え、重点産業に位置付けられる新Sカーブ産業(注)への投資促進対象プロジェクトにおける投資額の増加が背景にある。また、「タイランド・ファストパス」制度(2025年11月19日記事参照)や、投資手続きに関わる各種制約の解消に向けた動きにより、外国投資家からの信頼感が向上していると指摘した。一方、民間消費は、政府によるエネルギー危機の影響緩和策の支援が下支えとなり、2.7%増を維持すると見込まれた。
公的部門では、政府消費と政府投資がそれぞれ1.5%増、3.2%増となることを見込んだ。当初遅延が懸念された2027年度予算(2026年10月~2027年9月)の編成が予定どおり完了することを受け、切れ目のない予算執行が可能となり、特に、大型インフラ事業への投資がタイの競争力向上につながるとともに、民間投資の呼び水となることが期待されている。
財務省は、タイ経済の潜在成長力を最大限に発揮し、2026年を「投資の年」とする方針としている。投資促進制度の「タイランド・ファストパス」やタイ投資委員会によるビジネスマッチングなどを通じて、外国投資の誘致を強化する。タイは、地域内でも優れたインフラ整備環境を有するほか、特定国に過度に依存しない「積極的中立」の対外スタンスを有している。結果、地政学的対立の影響を回避するため、生産拠点の移転を検討する企業にとって、有力な投資先となっていると強調した。
一方、今後のタイ経済に影響を与えるリスク要因として、中東情勢の悪化によるエネルギー価格の再上昇、米国の新たな関税政策に伴う不確実性、年後半の猛暑や干ばつを引き起こすスーパー・エルニーニョ現象を指摘した。
(注)タイ政府が産業育成や投資促進に重点を置く分野で、医療、バイオ、デジタル、航空、自動化、防衛産業、人材開発から成る。
(野田芳美、ピンラウィー・シリサップ)
(タイ)
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