イラク、公務員給与の支払いに遅れ、ホルムズ海峡封鎖で原油輸出に支障
(イラク)
ドバイ発
2026年08月20日
イラクで国家公務員らへの7月分給与の支払いが一部で8月にずれ込んだ。イラクの独立系ニュースサイト「964メディア」(8月5日付)によると、イラク財務省は7月28日から省庁ごとに給与資金の供給を始めたが、8月になっても未払いが残り、バスラやキルクークでは大学職員による抗議が起きた。バスラ大学医学部の職員は同メディアに対し、通常は毎月16日ごろに支給される7月分給与が8月5日時点でも未払いで、通常の支給日から約20日遅れていると説明した。また、クルディスタン地域を拠点とする「クルディスタン24」(8月5日付)によると、バグダッドでも電力省職員による抗議が起きたという。
2026年2月末以降にホルムズ海峡が事実上封鎖され、中東諸国の原油生産は大幅な減少を強いられた(2026年5月15日記事参照)。イラクでも同海峡に依存する原油輸出が滞り、国家収入が大幅に減少したことが給与遅配の主因となっている。
「964メディア」によると、政府はイラクが財政危機にあることを確認し、十分な資金が確保されるまで給与支払いが遅れると説明した。
ファーリフ・サーリー財務相は7月30日、国民議会議員との会談で、公務員給与、年金、社会保障給付を合わせた月間支払額は約7兆8,000億ディナール(約9,500億円、1ディナール=約0.12円)に上ると説明した。財務省は同日までに複数省庁向けに約3兆ディナールを配分した一方、手元の流動性資金は約1兆5,000億ディナールにとどまり、残る支払いに約3兆3,000億ディナールの不足が生じているとした。年金支給を始めるため、手元資金を1兆6,500億ディナールまで積み増す方針も示した。
政府報道官は8月6日、給与と政府の通常経費を賄うには月約10兆8,000億ディナールが必要だと説明している。給与・年金・社会保障給付はその中でも大きな固定支出で、毎月まとまったディナール資金を確保する必要がある。
こうした中、8月6日、財務省高官3氏やアリー・ゼイディー首相周辺の関係者らの話として、政府が8月分給与を確保するため、国内の民間銀行から3兆ディナール超を借り入れる準備を進めている、と現地メディアが報じた。一方、政府報道官は8月10日、公務員給与は確保されていると表明し、給与支給が40日ごとになるとの観測を否定した。
イラク民間銀行連盟のサミール・アル・ヌサイリ顧問は、財務省が国債などの政府債務証券を発行し、銀行が引き受けた後、イラク中央銀行(CBI)が再割引して銀行に流動性を供給する仕組みが使われると説明した。同氏は、この仕組みでは預金者の資金には手を付けないとしている。CBI統計によると、国内の公的債務残高は2026年5月末時点で103兆1,790億ディナールだ。
中東情勢の関連情報は、イスラエル・米国とイランの衝突を巡る中東情勢関連情報を参照。
(大野晃三)
(イラク)
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