トランプ米大統領、牛肉に対する関税割当(TRQ)を30万トン拡大、産業界は反発
(米国)
ニューヨーク発
2026年08月28日
米国のドナルド・トランプ大統領は8月26日、牛肉の輸入に対する関税割当(TRQ)を拡大する大統領布告
を発表した。同日、ファクトシート
も発表した。トランプ氏は8月21日に、TRQを拡大する意向をSNSで示していた。一方で、米国内では反対する声が相次いでいる。
大統領布告によれば、「自然災害、疾病、国内市場における重大な混乱」により、適正な価格で牛ひき肉を含む牛肉製品の米国内需要を満たせていないとし、牛肉の赤身トリミング(注)に対して低関税が適用されるTRQを30万トン分拡大すると決めた。詳細は次のとおり。
- 今回拡大されるTRQは、米国関税分類番号(HTSコード)で0201.30.5091、0201.30.5097、0202.30.5091、0202.30.5097に分類される牛赤身トリミングにのみ適用される。
- 30万トンは先着順で、10万トンずつ3回に分けて割り当てられる。第1回分は9月1~30日、第2回分は10月1~30日、第3回は10月31日~11月30日。ただし、いずれの回も割当量に達し次第、TRQの適用を終了する。
- 農務長官および米国通商代表部(USTR)代表は、今回定められたTRQに基づき輸入された牛赤身トリミングが、市場価格を25%下回る価格で販売されているかを監視する。25%を下回る価格で販売されていないと判断した場合、大統領は本布告に基づく措置を停止できる。
なお、今回の措置は、2026年2月に拡大したアルゼンチン産牛赤身トリミングに対するTRQの拡大(2026年2月12日記事参照)には影響しない。
今回の措置に対して、米国内では反対する声が相次いでいる。連邦議会下院で通商を所管する歳入委員会のジェイソン・スミス委員長(共和党、ミズーリ州)は8月27日、X(旧Twitter)に「長年にわたる干ばつや、食料、燃料、肥料の高騰に耐えてきた牧場主たちに、牛肉価格引き下げの負担を強いることは、問題の解決にはつながらない」とし、割引価格での外国産輸入肉を増やすのではなく、米国の牛の頭数を増やし、食肉加工業者間の競争を促進し、飼料、燃料、肥料、および資金調達のコストを引き下げるべきだと投稿した。また、米国最大の農業者団体であるアメリカン・ファーム・ビューロー連合(AFBF)は8月26日、「『市場価格を下回る』25%の割引価格で30万トンの外国産牛肉の輸入を許可することは、たゆまぬ努力を続けて米国の家庭のために食料を生産している米国の牧場主たちを弱体化させることになる」などとして、トランプ氏に措置の再考を求める書簡を送ったと声明
で明らかにした。
一方で、政治専門紙「ポリティコ」(8月26日)によれば、トランプ政権は牛肉業界や一部の共和党議員からの反発を和らげるため、TRQの拡大と並行して、「業界に配慮した別の政策見直し」を検討しているという。ただし、どのような措置が検討されているかは現時点で明らかでない。
(注)ブロック肉を切り出して成形する際に生じる端材で、主にひき肉などに利用される。
(赤平大寿)
(米国)
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