非在来型天然ガス開発に向けた専門家委員会の暫定勧告を発表
(メキシコ)
調査部米州課
2026年08月14日
メキシコのクラウディア・シェインバウム大統領は8月6日、非在来型天然ガス鉱床の開発に向け、環境負荷などを調査していた専門家委員会の暫定勧告について発表した。エネルギー自給率の向上などを目的に、4月に非在来型鉱床の開発に取り組む方針を示していた(2026年4月10日記事参照)。
専門家委員会の暫定勧告の主な内容は次のとおり。
- (エネルギー自給率の向上における)再生可能エネルギーによる発電拡大の優先。
- 国レベルでのエネルギー効率化に向けた措置の実施。
- 在来型天然ガスの国内生産を増加。また、石油生産に伴って発生する随伴ガスのフレアリング(焼却処分)の廃止。
- タンピコ・ミサントラ地区における非在来型ガス鉱床からの採掘活動の禁止。
- (非在来型鉱床の採掘にあたり)深部の水域に塩水が存在し、それらが浅層帯水層とつながっていないことを確認するため、試掘井の掘削を推奨(注)。
- 調査や試掘井の掘削を通じた、非在来型鉱床における天然ガス埋蔵量の確認。
- 副産物管理、環境負荷の少ない資源利用方法、および環境保護措置に関するベストプラクティスの導入。
- 影響を受ける地域住民に対する、事前かつ自由意思に基づく十分な情報提供を伴う協議。
- 地域雇用を促進するため、地元企業からの調達を奨励。
- 帯水層の健全性、水資源収支、地震活動、生態系保護を検証の上、継続的な技術的助言を提供するため、外部かつ独立した科学的モニタリング体制の構築。
専門家委員会のメンバーであるアナ・パウリナ・ゴモラ・フィゲロア氏によると、メキシコの非在来型天然ガス鉱床のポテンシャルは141兆5,000億立方フィート(約4兆立方メートル)と推定される。これらはタンピコ・ミサントラ地区、ブルゴス地区、サビナス・ブロ・ピカチョス地区の3つに分散しているが、タンピコ・ミサントラ地区では環境保全、社会的影響、生物多様性、人口密度などを考慮し、開発を禁止すべきだと説明した。他の2地区についても、環境・社会的影響が最小限にとどまるよう、試掘井の掘削などの調査を継続すべきだとした。
実現に向けては技術や資金面などに課題
非在来型鉱床の採掘には「フラッキング(水圧破砕)」と呼ばれる方法が用いられるが、大量の水と薬品を使うことから、メキシコ政府はフラッキングに反対する姿勢を取ってきた。シェインバウム大統領は近年の技術革新により環境負荷を低減した方法もあると説明しているが、環境負荷を懸念し反対する声も多い。加えて、開発を担う国営石油公社(PEMEX)の資金力不足などもあり、技術的なハードル以外にも実現に向けた課題はありそうだ。
(注)メキシコ政府や専門家委員会は、天然ガスの採掘に深部水域の塩水を薬品と混ぜて利用することを想定している。これが浅層帯水層とつながっていると、薬品が生活用水などに流れ込む恐れがある。
(加藤遥平)
(メキシコ)
ビジネス短信 9f15327c16fcd07b





閉じる