7月のインフレ率は9.2%に鈍化
(パキスタン)
カラチ発
2026年08月20日
パキスタン計画・開発省統計局(PBS)は8月1日、7月の消費者物価指数(CPI)の上昇率(インフレ率)が、前年同月比9.2%になったと発表した(添付資料図参照)。6月の11.1%から1.9ポイント低下し、インフレ鈍化傾向が続いた。しかし、政府が2026/2027年度(2026年7月~2027年6月)のインフレ率目標レンジとする5~7%からは大きな上振れとなった。
パキスタンのインフレ率は、2025年4月には0.3%と史上最低レベルまで低下していたが、その後は中東情勢を背景にエネルギー料金の上昇とともにインフレ率が押し上げられ、2026年5月には11.7%に達していた(2026年7月8日記事参照)。6月には11.1%と若干低下し、7月は9.2%と鈍化傾向がみられた。なお、地域別のインフレ率は、都市部は8.7%、農村部は9.9%となり、いずれも前月から鈍化した。
食品価格上昇率は前月比で加速傾向
品目別では、前月比で食品・飲料価格に上昇率加速の傾向がうかがえた。生鮮食品価格の上昇率は前月比17.7%で、特にトマト(116.8%)、生鮮野菜(22.1%)、ジャガイモ(21.5%)、鶏肉(19.1%)など生活に直結する品目で上昇が目立った。一方で、住宅・光熱費(マイナス0.6%)と運輸(マイナス5.2%)などはマイナスとなり、全体の上昇を一定程度抑制した。
今後の物価動向の不確定要因の1つは、国際エネルギー価格である。中東では米国とイランを巡る緊張状態が解消されておらず、原油輸送の要衝であるホルムズ海峡を含む地域情勢は依然として不安定な状況にある。パキスタンはエネルギーを輸入に依存しており、原油や液化天然ガス(LNG)価格の上昇は電力料金や輸送コストを通じて国内物価に即時に波及する。足元ではインフレ鈍化傾向がみられるが、先行きについては国際商品市況や地政学リスク動向の注視が必要だ。
パキスタン経済は現在、物価安定と景気回復の両立を模索する局面にある。インフレ鈍化傾向は家計や企業活動にとって前向きな材料である一方、エネルギー価格や為替動向など外部要因への脆弱(ぜいじゃく)性は依然として高く、引き続きインフレ動向が注目される。
(糸長真知)
(パキスタン)
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