中国人民銀行、第15次5カ年規画期の改革・発展方針を発表、イノベーション支援と人民元の国際化を推進

(中国)

調査部中国北アジア課

2026年08月24日

中国人民銀行は8月10日、「中国人民銀行の第15次5カ年(2026~2030年)規画期における改革発展規画」(以下、「規画」)および関連する9分野におけるアクションプランを策定したと発表した。発表では、金融強国の建設を加速することを目標として、同期間における中国人民銀行の改革・発展の重点任務を示した。

第1に、科学的かつ穏健な金融政策体系と、幅広い分野をカバーするマクロプルーデンス管理体系(注1)を構築する。中国の特色ある現代的金融政策枠組みの整備や市場化された金利・為替形成メカニズムの発展、人民元相場の安定維持、監視・評価体制の整備による重点分野の金融リスク解消などを挙げた。

第2に、実体経済に対する金融サービスの質と効率を継続的に向上させる。具体的には、科学技術イノベーションに適応した金融体制(科学技術金融)の構築、債券市場の「科学技術板」(注2)の整備、グリーン発展と低炭素転換に対する金融支援の質と効率の向上、普惠金融(注3)や養老金融の体系整備、デジタル金融の推進、消費活性化に向けた金融支援の強化などを挙げた。

第3に、多層的な金融市場体系を整備することで、金融市場の機能向上と安定的な運営を維持するとした。

第4に、金融分野のハイレベルな対外開放と人民元の国際化を着実に推進し、国際貿易および投融資における人民元の利用を拡大する。具体的には、人民元オフショア市場の発展の推進や、多層的で幅広い人民元クロスボーダー決済体系の整備、上海国際金融センターの建設加速、香港の国際金融センターとしての地位向上などを盛り込んだ。

第5に、金融インフラと中央銀行のサービス体系を最適化する。金融統計、決済、国庫、現金サービス体系の整備、デジタル人民元の発展、信用情報産業の質の高い発展の推進、マネーロンダリング対策の強化などが挙げられた。

同規画について、北京大学光華管理学院院長の田軒氏は、科学技術金融の位置付けが明確に高まったと指摘した。ハイテク企業の資金調達手段が多様化し、中長期のイノベーション資金の供給が増えることで、投資、融資、債券、保証を組み合わせた総合的な金融体系の形成が進むとの見方を示した。また、規画において、人民元の国際化があらためて重点課題として位置付けられたと指摘した(「経済参考報」8月11日)。

なお、関連する法制度の動向として、6月に公表・意見募集が行われた「金融法草案」および「中国人民銀行法改正草案」では、マクロプルーデンス管理の実施やデジタル人民元の法的位置付けの明確化などが盛り込まれていた(2026年7月13日記事参照)。

(注1)金融システム全体のリスクの状況を分析・評価し、それに基づき制度設計や政策対応を行うことで、安定を確保する考え方。

(注2)科学技術イノベーション企業の資金調達支援を目的とした債券市場の仕組み。

(注3)中小企業、農村部、低所得者層なども含め、社会のあらゆる人が適切で利用しやすい金融サービスを受けられるようにする金融政策。

(和田拓己)

(中国)

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