米テスラがテキサス州に総額101億ドルの太陽光発電機器工場の建設計画

(米国)

ヒューストン発

2026年08月19日

米国電気自動車(EV)大手のテスラは8月6日、テキサス州ヒューストン郊外のフォートベンド郡で、総額約101億ドルを投じる太陽光発電機器製造工場「プロジェクト・クリスタル・サン(Project Crystal Sun)」の建設計画について、州の税制優遇措置(JETIプログラム、注1)の申請を行った。工場は2026年に着工し、2029年第1四半期の稼働を予定している。常勤雇用は約9,700人を見込む。

同工場では、太陽電池セルや太陽光モジュールを製造する計画で、設備一覧にはインゴット製造、ウエハー製造、コーティング設備、メタライゼーション印刷ライン、セル試験設備、クリーンルームなどが含まれている。これらの内容から、原材料段階から完成モジュールまでを一貫生産する垂直統合型の製造拠点を構想しているとみられる(注2)。

米国の太陽光産業では、パネル組み立て工程のみを国内で行い、セルやウエハーを海外から調達するケースが多い。一方、テスラの計画はインゴットからモジュールまでを1つの拠点で生産する、中国型の垂直統合モデルに近く、実現すれば米国内でも最大級の太陽光発電機器の製造拠点となる可能性がある。

申請資料には、工場の年間生産能力は明記されていない。一方で、イーロン・マスク最高経営責任者(CEO)は2026年1月の世界経済フォーラム(WEF)で、太陽光発電製造能力の拡大方針について、「テスラとスペースXがそれぞれ米国内で年間100ギガワット(GW)の太陽光発電機器の製造能力構築に取り組んでいる」と発言している。業界専門誌「ソーラー・パワー・ワールド(Solar Power World)」は、韓国ハンファQセルズがジョージア州で約25億ドルを投じて建設した垂直統合型工場の生産能力が年間3.5GW規模であることを例示し、単純比較では101億ドルの投資で100GW規模の製造能力を実現するのは容易ではないとの見方を示している。

テスラは申請書の中で、同プロジェクトについてテキサス州以外の複数州も候補地として検討していると説明した。また、固定資産税などの負担が大きいため、JETIによる税制優遇措置や地方自治体の支援がなければ、他州の候補地と比べて競争力が低下すると主張している。テスラは同プロジェクトにより、約11億ドルの固定資産税負担を含め、直接・間接的に合計約64億ドルの州・地方税収効果を生み出すと試算している。

太陽光発電の部品・モジュール製造事業のほかにも、テスラはスペースXとともに、先端半導体の製造、パッケージング、試験工程を一体化した垂直統合型施設「テラファブ」プロジェクトに参画しており、8月6日にはテキサス州グライムズ郡にテラファブを建設すると発表した(2026年8月19日記事参照)。テラファブは同郡の複数の学区において、JETI助成を申請している。

(注1)テキサス州の雇用・エネルギー・技術・イノベーション(Texas Jobs, Energy, Technology, and Innovation、JETI)プログラムは、製造、発電、資源開発、研究開発、ハイテクインフラ分野の施設建設プロジェクトを対象に、投資額や雇用創出数に応じて学区税の課税評価額を10年間最大50%軽減する制度。特区内の案件は、追加で最大25%の軽減措置を受けられる。

(注2)インゴットはシリコン原料から製造される結晶体、ウエハーはこれを薄片化したもので太陽電池セルの基材となる。コーティング設備やメタライゼーション印刷ラインはセル製造工程で用いられ、セル試験設備は品質検査を担う。テスラの申請書類によると、設備は主要工程を網羅しており、一貫生産体制を志向していることがうかがえる。

(キリアン知佳)

(米国)

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