欧州委、包装・包装廃棄物規則(PPWR)の「よくある質問」更新版を発表

(EU)

ブリュッセル発

2026年08月10日

欧州委員会は8月3日、包装・包装廃棄物規則(PPWR、注)の「よくある質問(FAQ)」外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますを更新した。8月12日からの適用開始を前に、3月30日(2026年4月14日記事参照)の第1版から重金属の試験方法や既存在庫の取り扱い、執行に関する章などが追加された。

同日から適用される第5条(包装に含有される物質に関する要件)について、懸念物質要件の強化を踏まえ、現行の整合規格EN13428:2004付属書Cのみでは適合推定は得られないとしていたが、改定規格が整備されるまで同規格を使用できるとした。また、PPWRで規定されていない重金属の試験方法について、CEN report CR13695-1:2000に基づく測定・検証方法を推奨することを初めて明記した。さらに、再充填(じゅうてん)可能なガスシリンダーは、危険物の国際道路輸送に関する欧州協定(ADR)上の安全要件を満たすため、鉛含有部品が必要で代替手段がない場合、重金属上限は適用されず、安全要件が優先されるとの解釈を新たに示した。なお、食品接触包装材におけるPFAS(有機フッ素化合物)濃度上限値への適合を検証するための整合規格は示されなかった。

8月12日までに製造されたものの同日までにEU市場に上市(市場投入)されていない包装在庫については、廃棄、再製造、再ラベル貼付は不要であり、識別情報の表示義務は、添付書類で対応可能と明確化された。同日以前に上市された包装はPPWRに適合していない場合でも引き続き市場流通が認められる。一方、8月12日以降は、個別識別情報や製造者情報を包装に直接表示できない場合に限り、添付書類による対応が認められる。なお、個別識別情報は、適合性確認や市場監視のためのトレーサビリティー確保に必要であることから、シリアル番号など製造ロット単位で識別すれば足り、包装を構成する個々の部材ごとに表示する必要はない。例えば販売包装がカップ、ふた、スリーブなど複数の分離可能な部材から構成される場合でも、代表的な部材に必要な情報を表示すれば要件を満たす。また、適合宣言書(DoC)は個々の構成部材ではなく、包装単位(Packaging Unit)で作成すればよいとした。その場合DoCには、全ての構成部材に関する情報を記載する必要がある。加えて、適合性評価手続きは試験機関など第三者への委託が可能である一方、技術文書の作成責任およびPPWR適合に関する法的責任は製造事業者に残り、契約により他社へ移転できないとした。

執行に関する章も新たに追加され、8月12日以降、PPWRに適合していない包装が直ちにEU市場から排除されるわけではないとした。第62条に基づき、当局はまず対象事業者に違反を通知し、合理的な期限を設け是正措置を求めた上で、是正されない場合に限り、販売禁止、リコール、市場からの撤去といった措置を講じることができると説明。また、市場監視当局は制裁を重視するのではなく、事業者の新規則への適応を支援すべきとの考え方が示された。なお、本FAQ自体に法的拘束力はなく、実際の執行対応は各加盟国当局の運用に委ねられる。

(注)詳細は特集「EU包装・包装廃棄物規則(PPWR)関連情報」参照。

(薮中愛子)

(EU)

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