欧州委、2件のデジタル規制関連の措置を発表、規制に対する姿勢を示す

(EU、中国、米国)

調査部欧州課

2026年08月05日

欧州委員会は7月20日に、デジタルサービス法(DSA)に基づき、中国アリババが運営するECサイト「アリエクスプレス」に対し、制裁措置を発表した。さらに7月23日にはデジタル市場法(DMA)に基づき、グーグルに対して大規模な制裁措置も発表し、デジタル規制の執行強化を進めており、その姿勢を示している。

欧州委はアリエクスプレスが自社のECサイトにおける違法、危険、または模倣品の販売に関連するリスクの評価・対策を十分に実施しなかったとし、「デジタルサービス法(DSA)」に基づく義務に違反したとして、5億5,000万ユーロの制裁金を科した外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます。欧州委は2025年6月にアリエクスプレスに対するDSA違反に関する暫定的見解を発表しており(2025年6月23日記事参照)、今回の決定は正式な違反認定に対する制裁措置となる。

DSA規定に基づき、アリエクスプレスは2026年10月20日までに欧州委に行動計画の提出が求められる。計画には、システミックリスク(注)を評価・軽減する義務の違反を是正するための措置が命じられており、今後も義務を履行しない場合には追加的な制裁金が科される可能性がある。

グーグルに対しては、「グーグル検索」において、ショッピング、ホテル、交通、スポーツ検索結果などの自社サービスを第三者のサービスよりも優先表示したこと。およびアンドロイド向けアプリストア、「グーグルプレイ」においては、消費者を代替の購入チャネルへ誘導することを制限したこと(ステアリング)について、DMA違反と認定し、総額8億9,000万ユーロの制裁金を科した。グーグルは、「グーグル検索」における自社サービスの表示方法を変更し、その試験運用を開始、また「ステアリング」条項に関連する変更を実施している。欧州委はこれらの変更を評価する一方、今回の決定を踏まえてこれらの措置がDMAの順守につながるかどうかについては、引き続き検証するとしている。

これら2つの案件は対象こそ異なるものの、EUのデジタル規制戦略において共通した意味を持つ。DSAは「安全で信頼できるオンライン環境」、DMAは「公正な競争」の実現を目指しており、今回の執行措置はその適用例と位置付けられる。

EUは近年、デジタル規制における世界的な基準を設定してきたと表明している。今回の措置は、企業の国籍を問わずEU市場で事業を行う全ての大規模プラットフォームに対し、競争の公正性、透明性、利用者保護を厳格に求める姿勢を示したものといえる。

(注)違法コンテンツの拡散、基本的権利、選挙、公安、性暴力、公衆衛生、未成年者保護への悪影響、個人の健康へ深刻な悪い結果をもたらすこと。

(坂本裕司)

(EU、中国、米国)

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