エジプトが小麦輸入世界首位維持と予測、2035年までのFAO農業見通し
(エジプト、ウクライナ、ロシア)
カイロ発
2026年07月28日
OECDは6月29日、国連食糧農業機関(FAO)農業見通し報告書(2026~2035年)(OECD‑FAO Agricultural Outlook 2026‑2035
)を発表した。同報告書は、世界の小麦輸出量は2023-2025年の水準から約3,100万トン増加し、2035年までに2億3,500万トンに達すると予測した。ロシアの輸出が6,000万トンに迫り世界全体の輸出量の26%を占め世界最大の小麦輸出国としての地位を維持する一方、世界最大の輸入国はエジプトで世界全体の輸入額の7%を占めるという。北アフリカの人口増加と小麦増産余力の伸び悩みにより、国際市場における需要は引き続き大きいとした。
ロシアのウクライナ侵攻が輸入価格に影響
7月15日付ロイター通信は、ロシアによるウクライナに向けたミサイル・ドローン攻撃の激化によって、ウクライナの黒海港湾を通じた穀物輸出能力が約3分の1失われたとするウクライナ農業団体(UAC)などのコメントを報道した。ロシアはウクライナの港湾施設を弾道ミサイルで度々攻撃しており、港湾は完全に停止してはいないものの、7月2~8日には穀物輸送用貨車のオデーサ向け輸送量が前週比11%減少、穀物輸出量が前週比17%減少しているという。また、港湾地域の穀物保管能力が約3分の1減少しており、船主がウクライナの港への寄港を避ける傾向が強まり、海上運賃が上昇していると報じられた。
IMFによると小麦の国際価格は、2020年は1トン当たり200ドル前後だったが、ロシアによるウクライナ侵攻が始まった直後の2022年3月から5月にかけて約450ドルまで急騰、2023年に約250~350ドル、直近では2026年6月に約200ドルと2020年の水準に落ち着いていた。足元の価格は落ち着いているものの、ウクライナの輸出能力低下が長期化した場合には価格上昇要因となる可能性がある。
2024年、全世界の小麦輸入額合計500億ドルのうちエジプトが首位で41億1,000万ドル、全体の8.3%を占めた。同年のエジプトの輸入総額1,130億ドルの3.6%に当たる。エジプトの小麦輸入額41億1,000万ドルのうちロシアからの輸入が24億9,000万ドル(60.1%)、ウクライナからの輸入が7億8,200万ドル(19.1%)を占めた。(ハーバード大学データベース「ハーバード・グロース・ラブ
」)。小麦の輸入のほぼ80%をロシアとウクライナに頼っているエジプトにとって小麦価格上昇は外貨準備高減少の要因になる(2023年8月16日記事参照)。
(西澤成世)
(エジプト、ウクライナ、ロシア)
ビジネス短信 fc2089a8b409db7e





閉じる