スイスのMSCグループ、ケララ州の港湾に大規模投資

(インド、スイス、欧州)

チェンナイ発

2026年07月06日

インドの財閥アダニグループ傘下のアダニ港湾・経済特別区(APSEZ)は6月30日、同社が運営権を持つケララ(KL)州のビジンジャム港について、スイスの海運大手MSCグループがAPSEZの特別目的会社(SPV)であるアダニ・ビジンジャム・ポート(AVPPL)の株式49%を取得することで合意したと発表した。この投資はMSCグループ傘下のターミナル・インベストメント(TiL)を通じて行われ、投資額13億9,700万ドルはインド国内港湾インフラへの対内直接投資(FDI)としては過去最大規模だ。

2024年12月に操業を開始した同港はインドの海岸線のほぼ中央に位置しており、国際主要航路に近いという地政学的優位性に加え、約20メートルの自然水深があることなどから超大型コンテナ船の受け入れも可能だ。既に操業開始から18カ月の時点で200万TEU(注1)の取扱量を達成するなど、インド国内でも最速級の発展スピードを見せている。

インド貨物の積み替えは主にコロンボなど海外の港で行われていることから、インド政府としては、同港の整備によって東アフリカルートをはじめとする国際貿易でのプレゼンス向上や、国内への経済効果を狙う。官民連携方式(PPP)で同港を運営するKL州政府も、V・D・サティーサン州首相が「今後5年以内にKL州を世界有数の海運拠点へと押し上げる」ことを目標とする「ミッション・サムドラ(注2)」を掲げており、同港の発展に期待を示している。

現在は第2期工事が行われており、2028年末には岸壁が2,000メートルに延長され、年間取り扱い能力も570万TEUに拡大する予定だ。一方、現在寄港する船舶の99%がMSCの関連船舶とする報道もあり(「ザ・ウィーク」6月30日)、今後他社による利用が進み、同港がアジア地域の積み替えハブに成長するかが注目される。

(注1)TEU(Twenty-foot Equivalent Unit):20フィートコンテナ1個を基準とする取扱量の国際的な単位。

(注2)サムドラは、KL州を中心に話されているマラヤーラム語で「海」を意味する。

(田村健)

(インド、スイス、欧州)

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