「アンネの日記」のVPN閲覧は著作権侵害に当たらず、EU司法裁判所が判決

(オランダ、EU)

デュッセルドルフ発

2026年07月17日

EU司法裁判所(CJEU)は7月9日、「アンネの日記」をめぐり、合理的なジオブロッキング(地域制限)(注)が講じられていれば、VPNでアクセスできることのみを理由に著作権侵害は成立しないとの判断を示した。

アンネ・フランクの著作物は、ベルギーなどでは既にパブリックドメインとして無料公開されている一方、オランダでは2037年まで著作権保護が存続している。本件被告らはベルギーで運営するウェブサイト上で学術版原稿を公開していたが、オランダなど保護国からはアクセスできないようジオブロッキングを導入していた。しかし、VPNを利用すればオランダからも閲覧できる状態にあったことが争点となっていた。

CJEUは、技術的措置に絶対的な完全性は求められないとした上で、合理的なジオブロッキングが実施されていれば、VPNでアクセス可能であることのみを理由に著作権侵害を認めるべきではない、と判断した。

また、VPNによるアクセス可能性だけを理由に侵害を認めれば、EU域内のどこか1カ国で著作権が存続している限り、著作権が満了した国におけるオンライン公開まで困難になると指摘した。

本判決は、加盟国間で著作権保護期間が異なる著作物について、適切なジオブロッキングを実施すれば、パブリックドメイン国におけるオンライン公開を認める方向性を示したものとして注目され、デジタルアーカイブや文化資料の公開実務にも影響を与える可能性がある。EU域内であっても著作物の権利状況が加盟国間で異なる場合があることを踏まえ、オンライン公開に際して各国の権利状態を確認した上で、必要に応じてアクセス制限などの適切な措置を講じることの重要性を示した判決といえる。

(注)ユーザーのIPアドレスからアクセス元の国・地域を判別・特定し、インターネット上のコンテンツの表示やサービスの利用を制限する仕組み。

(吉森晃)

(オランダ、EU)

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