マニラ首都圏の最低賃金、日額85ペソ引き上げへ

(フィリピン)

マニラ発

2026年07月17日

フィリピン労働雇用省(DOLE)のフランシス・トレンティーノ長官は6月30日、マニラ首都圏の最低賃金を日額85ペソ(約221円、1ペソ=約2.6円)引き上げると発表した。引き上げは、地域賃金生産性委員会(RTWPB)が賃金通達第NCR-27号PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)に基づき決定したもの。マニラ首都圏では、2022年から5年連続で最低賃金を引き上げており、今回はこの5年間で最大の上げ幅になった。

賃上げは2段階に分けて実施される。2026年7月25日に60ペソ引き上げ、2027年1月に25ペソ引き上げる予定だ。これにより、非農業部門の日額最低賃金は695ペソから780ペソに、農業部門と従業員15人以下のサービス業、小売業、従業員10人未満の製造業では、658ペソから743ペソに引き上げられる。

トレンティーノ長官によると、マニラ首都圏では最低賃金で働く労働者が約110万人おり、今回の措置で恩恵を受けると見込まれており、最低賃金を上回る190万人の労働者も賃金調整の対象となる可能性がある。

現地報道によれば、今回の賃上げを巡って経済団体からは懸念の声が上がっている(7月1日付「インクワイアラー」紙)。フィリピン商工会議所のフェルディナンド・フェレール会長は、新たな賃金通達について「現時点で企業にとっては非常に厳しい」と指摘した。また、フィリピン経営者協会のドナルド・リム会長は、「多くの中小零細企業(MSME)は追加的なコスト負担に直面し、雇用や事業拡大、価格設定の判断に影響を与える可能性がある」と懸念を示した。そのうえで、「今後は、ビジネス環境の改善や、物流・エネルギーコストの削減、技能や技術への投資、生産性向上を通じた賃金上昇を実現できる環境づくりなどを通じて、労働者と企業の双方を支援することに焦点を当てるべきだ」と述べた。

なお、DOLEのトレンティーノ長官は7月2日の声明で、最低賃金引き上げに伴い、労働法に基づく休日手当や残業手当、退職金など、基本給に基づいて計算される給付も調整対象となると発表した。あわせて、マニラ首都圏以外の地域でも最低賃金の見直しを進める方針を明らかにした。

(アギラー・パールホープ、西村公伽)

(フィリピン)

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