外国民間資本のサウジアラビア未公開市場投資が拡大、SVCが報告

(サウジアラビア)

リヤド発

2026年07月08日

サウジアラビア国営通信(SPA)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますは7月1日、政府系ベンチャー投資促進機関であるサウジ・ベンチャー・キャピタル(SVC)が、サウジアラビアのプライベート・マーケット(未公開市場)における世界的な資本流入を包括的に分析したレポート「サウジアラビアのプライベート・マーケットにおけるグローバル投資」を発表したと報じた。同レポートによると、2025年における同市場への外国民間資本投資額は200億リヤル(約8,400億円、1リヤル=約42円)に達した。これは同国のプライベート資本投資総額(注1)の約60%を占める。こうした実績は、同市場のエコシステムの継続的な拡大を示す重要な節目となった。

今回のレポートは、国家改革戦略「サウジ・ビジョン2030」の下で同国が主要な投資先へと進化する状況を検証したもの。包括的な経済改革と規制の近代化に支えられ、中東・北アフリカ(MENA)地域で最も活発なエコシステムの1つとなり、2019年以降の外国民間資本の投資累計額は400億リヤル(約1兆6,928億円)を超えた。分野別では、ベンチャーキャピタル(VC)が外国投資の主要な入り口としての役割を果たしている。サウジアラビアは3年連続でMENA地域最大のベンチャーキャピタル市場としての地位を維持した。プライベート・エクイティー(注2)市場では、中堅企業向け取引の増加によって投資の多様化が進んでいる。また、企業の拡大および新規株式公開(IPO)の準備を支援する補完的金融チャネルとしてプライベート・デット(注3)が台頭している。

外国投資家層も大幅に拡大しており、2019年の28社から2025年には148社へと約5倍に増加した。北米、欧州、東南アジア、MENAなど幅広い地域から投資家が参加する市場となっている。投資先のセクターも多様化しており、引き続き多額の資本を引きつけるフィンテックやeコマースに加え、ヘルスケア、エンタープライズ・ソフトウエア、教育テクノロジー、飲食、物流など、経済改革計画に沿った広範なセクターに関心が拡大している。

同レポートは、外国民間資本の成長を牽引する主要因として、マクロ経済の安定性、規制の近代化、資本市場インフラの深化、政府系ファンドなどによる投資促進資金、セクター特化型プログラム、外国投資家の現地拠点の拡大、エコシステム全体における価値創出能力の高度化の7つを挙げた。同市場は着実な制度面の成熟と広範な国際的参加、投資対象の多様化を特徴とする、新たな成熟期に入りつつあると結論付けている。

(注1)株式市場などの公開市場で取引されていない未公開株、非上場企業、不動産、インフラなどの非公開資産(プライベート資産)に投じられた資金の総額。

(注2)証券取引所に上場していない未公開企業の株式、またはそれらに投資して企業価値を高めた後に売却益を狙う投資ファンドのこと。

(注3)銀行以外の主体が非上場企業に貸し出しているローンに対する投資。

(林憲忠)

(サウジアラビア)

ビジネス短信 c384693d77e87a8e