米ニューヨーク州のホークル知事、大規模データセンターの新規許認可を一時停止する知事令を発令

(米国)

ニューヨーク発

2026年07月17日

米国ニューヨーク州のキャシー・ホークル知事(民主党)は7月14日、人工知能(AI)需要の拡大に伴う大規模データセンター(DC)開発の急増を受け、州内の大型DCの建設に対する新規許認可を環境影響評価審査の完了までの最長1年間にわたり一時停止する知事令(Executive Order 62外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)を発令した。今回の知事令により、ニューヨーク州は全米初のDC導入規制を設けた州となった(注1)。

知事令が出された背景にあるのは、AIデータセンターによる電力需要の急増がある。知事令によると、ニューヨーク州では2026年5月時点で、約12ギガワット(GW)のデータセンター向け電力需要が送電網接続審査待ちとなっている。このうち8GWが2025年中に新たに申請された案件であり、AIブームを背景に電力需要は急増している。大規模DCは大量の電力や冷却用水を必要とするため、州政府は電力料金の上昇や送電網への負荷、水資源への影響に対する住民の懸念が高まっていると指摘している。

こうした状況を踏まえ、知事令では、同州環境保全局(DEC)が、大規模DCの建設または拡張に関する裁量的許認可申請について、環境影響評価の完了まで審査を保留するよう指示した。また、州公共サービス局(DPS)に対し、DCが電力網へ及ぼす影響を分析するとともに、州全体を対象とした包括的な環境影響評価の実施を求めた。

対象となるDCは、コンピュータサーバー、関連するコンポーネント、またはデータ処理や管理のための計算・通信機器を収容するもので、同一、あるいは隣接する敷地内に立地し、50メガワット(MW)以上の電力を消費する可能性がある施設と定義した(注2)。

州政府は今回の措置と併せて、DC開発事業者に系統増強費用などの負担を求める考え方を強化する方針も示した。現在検討中の「ニューヨーク・グリッド加速基金」では、DC事業者による電力系統への事前投資や、電力アフォーダビリティを向上する選択肢の検討などが議論される見通しだ。知事は「DC開発の急拡大によって、電力料金の上昇や資源への負荷が懸念される中、州民の利益を守るために州政府として対応する必要がある」との立場を示している。

一方、ニューヨーク州議会は6月5日、大規模DCに対するより包括的な規制法案外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますを可決した。同法案は20MW超のデータセンターを対象に、DECによる許認可発給を1年間停止する内容を含む。法案は電力料金への影響抑制や地域社会への利益還元の仕組み構築なども求めているが、7月14日時点では知事の署名には至っていない。

(注1)メーン州議会で可決されたDC建設を一時停止するモラトリアムは、同州のジャネット・ミルズ知事(民主党)が4月24日、拒否権を発動したことにより、同法案は廃止された。そのため州レベルでは、ニューヨーク州知事が今回発令したモラトリアムが全米で初のモラトリアムとなった(「ニューヨーク・タイムズ」紙7月14日)。

(注2)ただし、同定義では、製造施設や研究開発施設、大学の研究施設、医療機関などは対象外とした。

(久峨喜美子)

(米国)

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