カナダ政府、「バンクーバー港ゲートウエー戦略」を発表、インド太平洋地域との貿易機会拡大へ

(カナダ、北米、日本、中国、韓国)

調査部米州課

2026年07月22日

カナダ政府は7月16日、バンクーバー港の機能強化を柱とする「バンクーバー港ゲートウエー戦略外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます」を発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした。今後、主要プロジェクト局(MPO)へ付託され、カナダ建設法(2025年7月7日記事参照)の適用に向けた手続きが進められる(注1)。貿易相手国・地域の多角化を進めるカナダにとって、バンクーバー港はインド太平洋地域への重要な玄関口であり、将来的な貨物取引量の増加を見込んで機能強化を図る。

同戦略は、(1)コンテナ取り扱い能力を50%拡大するロバーツ・バンク・ターミナル2(RBT2)の建設推進、(2)穀物、カリウム、石油製品、キャノーラ油などを扱うバルク貨物ターミナル向け用地・インフラの整備、(3)鉄道輸送網の最適化・拡張、(4)環境保護措置の強化、の4つの柱から成る。特にRBT2は、年間1,000億カナダ・ドル(約11兆5,000億円、Cドル、1Cドル=約115円)超の新たなコンテナ貿易能力を創出し、国内総生産(GDP)を年間30億Cドル(約3,450億円)以上押し上げ、1万7,000人の雇用創出につながると見込まれる。同戦略は2035年までに米国以外への輸出を2倍にすることを掲げるカナダの目標に貢献するとしている。

バンクーバー港は、日本、中国、韓国などのアジア諸国や米国との貿易を支える重要な港湾で、貨物取扱量は国内最大だ。バンクーバー・フレーザー港湾局によれば、2025年の貨物取扱量は過去最高の1億7,040万トンを記録した。この数字は、カナダ第2位のモントリオール港の約5倍に相当する。日本との貿易では、一般炭、原料炭、小麦、キャノーラ油、木材チップなどが主な取扱品目となっている。

バンクーバー港では、特にインフラ面での課題が指摘されていた。世界銀行とS&Pグローバル・マーケット・インテリジェンスが公表した「コンテナ港効率性評価(CPPI、注2)2025」外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますによれば、調査対象となった世界400港のうち、バンクーバー港は375位となっている。CPPIは年々改善しているものの、ターミナルの処理能力の逼迫といった課題などから、依然として下位に位置している。こうした状況を受け、カナダ政府は新コンテナターミナルであるRBT2の建設を「カナダ建設法に基づく国家プロジェクト」の候補として位置付けた。これにより、カナダ最大の港湾である同港の機能強化を進め、インド太平洋地域との貿易機会の拡大を図る。

(注1)同法の適用により、厳格な環境審査の基準を維持しつつ、先住民の権利を十分に尊重しながら、連邦政府による簡素化・迅速化された許認可手続きを利用できる。

(注2)船の位置情報などのデータを使い、寄港船の沖待ちも含んだ入港から離岸までの総滞在時間などからコンテナ港の効率性を評価した指標。

(木村勇翔)

(カナダ、北米、日本、中国、韓国)

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