防衛・安全保障分野の展示会「ユーロサトリ」開催

(フランス、日本)

パリ発

2026年07月14日

防衛・安全保障分野の世界最大級の展示会「ユーロサトリ(EUROSATORY)」が、フランス・パリで61519日に開催された。隔年開催の同展示会には、防衛企業、政府機関、軍関係者、投資家など世界各国から約12万人の関係者が集う。地政学的変化や防衛産業の再編を背景に、出展企業は前回から約600社増えて2,600社を超えた。主催者によると日本からはIHIとテラドローンが出展した。

今回は、人工知能(AI)、サイバー、宇宙、自律システムなどの先端技術が集結し、「マルチドメイン優位性(multi-domain superiority)」が主要テーマの1つとなった。戦場空間の高度化に対応するため、通信、監視、データ連携を支えるデジタル技術が多数披露された。また、従来の装甲車両や砲兵システムに加え、ドローンや対ドローン技術、通信、データ連携など、民生技術を安全保障用途に応用するデュアルユース分野の展示が目立った。

スタートアップ向けエリア「ユーロサトリ・ラボ(Eurosatory Lab)」では、極超音速技術や新素材、3Dプリンティングをはじめとする先端工学分野、AIなどのデジタル技術分野、さらにエネルギーやゲノミクスといった領域で破壊的イノベーションの創出に取り組むスタートアップ約60社が展示を行った。前年にユニコーン企業となったハーマッタンAIHarmattan AI)のブースは多数の来訪者を集めており、AIの防衛応用への関心の高さがうかがえた。

写真 会場内の様子(ジェトロ撮影)

会場内の様子(ジェトロ撮影)

会場内で実施されたセミナーでは、フランス通信大手のオランジュ(Orange)やNATO、フランス軍関係者らが登壇し、「重要通信から戦術ネットワークへの進化」をテーマに議論を行った。自動運転やIoT(モノのインターネット)が普及する中、防衛分野においても通信の安定性や主権確保が重要になるとの認識が共有され、現場での通信ネットワークの信頼性が今後の作戦能力を左右するとの指摘があった。

写真 会場内セミナーの様子(ジェトロ撮影)

会場内セミナーの様子(ジェトロ撮影)

61516日には、NATOの防衛イノベーション加速プログラム「DIANADefence Innovation Accelerator for the North Atlantic)」による「インターナショナル・デモデー」が会場内で併催され、2026年に採択されたスタートアップや関係機関が一堂に会した。10の課題領域に分かれて150社の技術が発表され、デモデーの締めくくりには先端技術の実地導入を意識したとみられるフランス軍によるデモンストレーションも行われた。またAI、自律システム、通信、宇宙、バイオテクノロジーといった分野のスタートアップがプロトタイプや実証成果を紹介し、防衛機関のニーズに基づくフィードバックをその場で得る様子がみられた。特にバイオ分野のブースには人だかりができており、血液型に依存しない輸血技術の開発を進めるスタートアップのアビボ・バイオメディカル(AVIVO Biomedical)などが注目を集めていた。担当者は、NATOからの資金や実証パートナーを求めていると説明し、技術の社会実装を強く意識した発表となっていた。

写真 「NATO DIANA」プログラム「インターナショナル・デモデー」での発表の様子(ジェトロ撮影)

「NATO DIANA」プログラム「インターナショナル・デモデー」での発表の様子(ジェトロ撮影)

報道によると、日本はNATOのDIANAへの参加を検討しており、AIや宇宙分野を中心にNATOからも日本の技術力への期待が高まっている。日本のディープテック企業にとっても、EUROSATORYやDIANAは、欧州市場への参入や国際共同開発、実証につながる重要な機会となる。

次回のEUROSATORYは2028年6月19~23日の開催予定。

(鈴木萌々)

(フランス、日本)

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