スリランカ、6年ぶりに上位中所得国入り、世界銀行が所得分類改定

(スリランカ)

コロンボ発

2026年07月14日

世界銀行(世銀)は7月1日、前年の1人当たり国民総所得(GNI)に基づく国・地域別の所得分類を改定し、スリランカを下位中所得国から上位中所得国に引き上げた(注)。スリランカは2019年に上位中所得国に引き上げられていたが、新型コロナウイルス禍や外貨不足、債務危機などの影響を受けて再度下位中所得国に移行していた。今回の引き上げは、2022年の経済危機による債務不履行(デフォルト)後に進められた経済安定化・構造改革の進展を反映したものとなった。

世銀は今回のスリランカの再分類について、工業生産や製造業活動、金融サービス、観光業の回復が経済成長を下支えしたと説明している。特に観光業の回復は外貨収入の増加に寄与し、マクロ経済安定化に向けた取り組みと合わせて経済環境の改善につながったとしている。

一方で、スリランカの1人当たりGNIが上位中所得国の基準をわずかに上回る水準であることも指摘している。今後、スリランカが同分類を維持するためには、財政改革の継続、債務再編の着実な実施、輸出の多角化、生産性向上などが課題となる。

今回の再分類は、2022年の経済危機以降に実施された経済改革とマクロ経済安定化策の成果を示すものといえる。他方、所得分類の上昇が直ちに国民生活の改善につながるものではなく、雇用創出や投資拡大を通じた包摂的な成長の実現が引き続き求められる。

また、スリランカが上位中所得国に再分類されたことで、欧州連合(EU)のGSPプラス(特別特恵関税制度)への影響も注目される。現行のEU一般特恵関税制度(GSP)枠組みでは、世銀によって高所得国または上位中所得国に3年連続で分類された国はGSPの適用対象外とされる〔EU規則(EU)No 978/2012第4条第1項(a)〕ことから、スリランカのGSPプラス利用に直ちに変更は生じない見通しだ。ただ、スリランカが今後も上位中所得国の地位を維持した場合には、将来的なGSPプラスの適格性が見直される可能性があり、輸出競争力の強化や国際条約・規範の履行を継続することが重要となる。

(注)世界銀行は、1人当たりGNIが1,175ドル以下の国を低所得国、1,176ドルから4,635ドルまでの国を下位中所得国、4,636ドルから1万4,375ドルの国を上位中所得国、1万4,375ドル超の国を高所得国としている。今回の国別分類は、2026年7月1日から2027年6月30日まで適用される。

(ラクナー・ワーサラゲー、志鎌大介)

(スリランカ)

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