対カナダ338条関税に北米の労働組合が懸念を表明、米・カナダの貿易交渉は継続
(カナダ、米国)
調査部米州課
2026年07月31日
全米鉄鋼労働組合(USW)と国際機械工・航空宇宙産業労働組合(IAM)は7月28日、米国がカナダ産品の一部に対して新たに50%の追加関税を課す方針を示したことを受け、米国通商代表部(USTR)のジェミソン・グリア代表に共同で書簡
を送付したと発表した。書簡では、カナダ産品に対する関税措置の見直しを求めるとともに、米国とカナダが長年にわたって築いてきた関係性に基づく貿易政策を取るよう訴えた。
米国のドナルド・トランプ大統領は7月20日、1930年関税法第338条に基づき、カナダ産の乳製品、アルコール飲料、自動車部品に対し、50%の追加関税を課す大統領布告を発表した(2026年7月21日記事参照)。USWとIAMは、北米でこれらの品目の生産や関連産業の労働者を代表する労働組合だ(注1)。
書簡でUSWとIAMは、これまでも米国によるカナダへの関税措置に対する懸念を表明してきた(注2)とし、米・カナダ関係が1年半にわたり、協調よりも対立色を強めてきたと指摘した。その上で、両国の関係を安定的で均衡の取れた状態に戻すための新たな対話と交渉を求めた。また、中国などによる不公正で略奪的な貿易慣行を念頭に、両国の労働者が防衛産業基盤の強化やサプライチェーンの強靭(きょうじん)化に貢献し、非市場的な政策による不公正貿易の影響を和らげる役割を果たしていると強調した。
7月21日には、カナダ最大の民間部門の労働組合「ユニフォー」が声明を発表
し、今回の338条措置に反対の意を表明していた。声明では、338条措置はカナダ経済に打撃を与え、貿易交渉でカナダ政府側から譲歩を引き出すことを狙ったものだとして、米国の姿勢を批判している。
米国とカナダの貿易交渉は継続へ
カナダのドミニク・ルブラン・カナダ-米国貿易・州政府間関係・国内貿易・ワンカナダ経済担当相は7月29日、訪問先の米国首都ワシントンで、グリア代表と会談したと明らかにした。詳細は明らかにされていないが、ルブラン氏はSNS投稿で、両国間の貿易について引き続き協議していく方針を示した。米国東部時間8月19日の発効を前に妥結できるか注目される。
(注1)USWは、約85万人の労働者を代表する労働組合で、鉄鋼、鉱業、自動車部品、エネルギーなどの産業を代表する。IAMは、約60万人の現役・退役組合員を代表し、航空宇宙、防衛、造船、鉄道、自動車などの幅広い産業を代表する。
(注2)USWとIAMは、いずれも米国とカナダに拠点を設けている。
(木村勇翔)
(カナダ、米国)
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