クウェート国営石油会社、北米投資会社と160億ドル規模の石油パイプライン事業契約

(中東、クウェート、米国、カナダ)

調査部中東アフリカ課

2026年07月27日

クウェート国営石油会社(KOC)は7月25日、米国の投資会社ブラックストーン、ブルックフィールドおよびカナダの投資会社KKRが主導するコンソーシアムと、160億ドル規模の原油パイプライン事業に関するパートナーシップ契約を締結したと発表した。クウェートの外国直接投資(FDI)の中で史上最大の案件となるという。

本契約の一環として、KOCとコンソーシアムはKOCが51%、コンソーシアムが49%を出資する合弁会社(JV)を設立する。JVはKOCが保有する全13本、320キロの石油パイプラインの利用権を賃借し、取得した利用権を20.5年間にわたりKOCに貸し戻す。KOCは輸送量に応じた利用料金をJVに支払う。KOCはパイプラインの所有権、運用管理権を維持し、原油生産量は引き続きクウェート政府が管理する。

今回の契約により、KOCは契約締結時にJVから78億5,000万ドルの前払いを受ける。調達した資金は、2035年までに日量400万バレルの原油生産能力を実現するというクウェート石油公社(KPC、注)の設備投資計画などに利用される。

クウェートの港湾はペルシャ湾内に位置しており、米国・イラン間の衝突によるホルムズ海峡の事実上封鎖の影響が大きい。クウェート中央統計局によれば、2026年第1四半期の原油輸出額は約20億クウェート・ディナール(約1兆640億円、KWD、1KWD=約532円)で、前年同期比24.4%減少した。石油関連製品の輸出額は、スチレン(前年同期比74.8%減)、液化ブタン(49.5%減)、エチレングリコール(49.4%減)、液化プロパン(44.8%減)なども大幅に減少した。同国の主要輸出品目である石油および関連製品の輸出減により、貿易黒字額(17億6,848万KWD)も30.6%減少する中、石油産出管理権およびパイプラインの所有権を維持しながら巨額の資金調達を実現する本契約はクウェートにとってもメリットが大きい。

中東情勢は特集「イスラエル・米国とイランの衝突を巡る中東情勢関連情報」、ホルムズ海峡や代替ルートの状況は地域・分析レポート特集「激動の中東情勢:中東各国への影響と展望」参照。

(注)クウェート国営石油会社(Kuwait Oil Company、KOC)は、クウェート石油公社(Kuwait Petroleum Company、KPC)の完全子会社。

(塩川裕子)

(中東、クウェート、米国、カナダ)

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