チリの失業率が9.4%に、約5年ぶり高水準

(チリ)

サンティアゴ発

2026年07月02日

チリの労働市場の悪化が顕著となっている。国立統計局(INE)は6月30日、2026年3〜5月期の失業率は9.4%に達し、前年同期比で0.5ポイント上昇したと発表した。2021年以来およそ5年ぶりの高水準となった。失業率は41カ月連続で8%を上回っており、厳しい雇用市場が続いている。サンティアゴを擁する首都圏州では失業率が9.8%に達するなど都市部でも悪化がみられる。

今回の失業率上昇は、労働力人口の増加(前年比1.3%増)が雇用の伸び(0.8%増)を上回ったことが主因で、失業者数は6.9%増加した。特に女性の失業率は10.5%と依然高水準にあり、男性の8.6%を大きく上回るなど、男女格差も鮮明となっている。また、インフォーマル雇用率も27.0%と前年同期比1.0ポイント上昇し、雇用の質の低下も懸念される。平均労働時間は週37時間で前年同期比0.8%減少しており、労働時間の短縮と雇用拡大の両立が課題として浮上している。

こうした状況を受け、政府は労働市場の柔軟化を柱とする対策を検討している。特に、時間給契約制度の導入や年間ベースでの労働時間管理への見直しなど、時間給労働の拡大を通じて雇用機会を増やす方針だ。これにより、インフォーマル雇用の正規化や若年層、女性の就業機会拡大を図る狙いがある。

ダニエル・マス経済兼鉱業相は、失業率の高止まりについて「チリは長年にわたる不適切な公共政策の代償を払っている」と述べ、前政権下の政策が雇用情勢の悪化につながったとの見方を示した。その上で、労働規制の硬直性や賃上げ政策が企業の雇用創出余力をそいだとの認識を示し、投資促進や規制緩和を通じた雇用拡大を進める必要性を強調している。

チリの労働市場は、失業率の上昇とインフォーマル化の進展という二重の課題に直面している。政府の掲げる柔軟な働き方の導入が雇用の質と量の改善につながるか、今後の政策運営が注目される。

(橋爪優太)

(チリ)

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