米財務省、2025年の為替報告書を公表、日本は引き続き監視対象
(米国、日本、中国)
ニューヨーク発
2026年07月28日
米国財務省は7月23日、為替政策報告書を公表
した。同報告書は半期ごとに連邦議会へ提出される。米国の財・サービス貿易の輸出入総額上位20カ国・地域を対象に、今回の報告書は2025年12月までの1年間の為替政策を分析・評価した。
今回の報告書では、前回と同様、「為替操作国・地域」に該当する国・地域はないと結論付けた。為替操作国・地域の認定には、2015年の貿易円滑化・貿易執行法に基づく3つの基準(注1)が用いられている。「為替操作監視対象」リスト(注2)には、前回の報告書(2026年6月6日記事参照)と同様に、中国、日本、韓国、台湾、タイ、シンガポール、ベトナム、ドイツ、アイルランド、スイスの10カ国・地域を掲載した。日本は5期連続となった。
「為替操作監視対象」リストの掲載国・地域に関する分析は第3節にまとめられている。日本が監視対象となった要因は前回に続き、対米貿易黒字と経常収支黒字に関する2つの基準を満たしたことだ。特に経常収支黒字は2024年のGDP比4.6%から同4.8%へと拡大しており、その要因として、財貿易赤字の縮小(GDP比0.4%から同0.1%)が、対外直接投資の収益や配当などを示す第1次所得収支の縮小(GDP比6.3%から同6.2%)の影響を上回ったことを挙げた(注3)。
中国が今回も監視対象となった要因も、前回に続き、対米貿易黒字と経常収支黒字に関する2つの基準を満たしたことだ。2025年の対米貿易黒字は1,690億ドルと、2024年(2,640億ドル)から減少した一方、経常収支黒字はGDP比3.8%と2024年(2.5%)から拡大しており、報告書はこれを中国国内外での経済的不均衡によるものと評価した。具体的には、内需の低迷に加え、非市場的慣行などを通じた輸出への過度な依存を挙げ、その結果として大幅な経済収支黒字が生じていると指摘した。
報告書は中国の為替政策や慣行に対し、その透明性の低さが主要貿易相手国・地域の中でも「依然として際立っている」と指摘した(注4)。そして、中国による為替介入政策を評価するために、日時固定レートや中国人民銀行の外貨資産などの主要指標の監視や、為替レートに影響を与え得る国有銀行の活動の検証を継続する意向を示した。さらに、中国が今後、人民元の切り上げを抑制するため、公式・非公式のルートを通じて介入を実施している証拠を得られた場合、「為替操作国」に指定する可能性があると記載した。
アイルランド、韓国、台湾、ドイツ、ベトナムについては、対米貿易黒字と経常収支黒字の2つの基準を満たしていることを理由に為替監視国・地域とした。タイ(対米貿易黒字の基準のみ)、スイス、シンガポール(いずれも経常収支黒字の基準のみ)については1つの基準のみを満たしているとし、次回報告でも該当する基準が1つ以下である場合、監視対象から除外される。
(注1)財・サービス貿易の輸出入総額上位20カ国・地域を対象に、(1)大幅な対米貿易黒字(年間150億ドル以上の財・サービス貿易黒字額)、(2)GDP比3%以上の経常収支黒字、(3)持続的で一方的な為替介入(過去12カ月間のうち8カ月以上の介入、かつGDP比2%以上の介入総額)という3つの基準。
(注2)注1に示す3つの基準のうち2つに該当した国・地域は「監視対象」リストに登録される。登録されると、少なくとも今後2回の報告書で監視対象国・地域として取り上げられ、3つの基準での改善が一時的でなく永続的なものとなっているかどうかについて評価される。連続した2回の報告で、3つの基準のうち1つの基準以下のみに該当した場合、「監視対象」リストから除外される。
(注3)なお、対米貿易黒字額は2024年の620億ドルから550億ドルとなり、注1に示す要件を上回るも、前年からは縮小した。
(注4)前回報告書でも、同様の記述がみられた。
(滝本慎一郎)
(米国、日本、中国)
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